経産省 30年までの「エネ基本計画」決定 「自主エネルギー率」70%に引上げ CO排出3割減の試算示す 原子力発電シェア約5割に

経済産業省の総合資源エネルギー調査会総合部会(部会長=三村明夫・新日本製鉄会長)は8日、同部会下の基本計画委員会と合同で会合を開催し、2030年までを視野に入れた新たな「エネルギー基本計画」を取りまとめた。地球温暖化問題への強力な対応が求められる中、エネルギー需給構造の抜本的改革を視点に、自主開発資源も含めた「自主エネルギー比率」を70%までに向上する目標を掲げ、講ずるべき取組を述べている。

また、8日の会合では、その裏付けとして、30年のエネルギー需給の試算も示され、今回基本計画の十分な推進により、CO排出量を90年比で30%または、それ以上削減することが可能としている。供給サイドでは、原子力発電について、安全確保を大前提とした新増設と設備利用率の引き上げにより、全発電電力量に占める割合を、07年度実績の26%から、約50%にまで引き上げる。

「エネルギー基本計画」は、エネルギー政策基本法に基づき、3年ごとに見直されるが、今回の改定では、「資源エネルギーの安定供給に係わる内外の制約」、「地球温暖化問題の解決に向けたエネルギー政策に関する強力かつ包括的な対応」、「エネルギー・環境分野に対する経済成長の牽引役としての役割」を重視し、全面的な見直しを行った。

時間軸を踏まえた政策の優先付けが不可欠との認識から、今後20年程度を視野に、資源小国である実情を踏まえ、30年までの目標として、これまでのエネルギー自給率に替え、自主開発権益からの化石燃料の引取量も加算した「自主エネルギー比率」の指標を示した上、これを現状の38%から、30年に約70%までの引き上げを目指す。

また、電源構成に占めるゼロ・エミッション比率は現状34%から約70%に、家庭部門のエネルギー消費から発生するCOを半減、産業部門では世界最高のエネルギー利用効率の維持・強化を図ることなどを掲げた。

目標実現のための取組としてはまず、資源確保・安定供給強化に向け、官民一体となった資源国との戦略的関係を深化させるなど、総合的施策を推進し、さらに、自立的・環境調和的なエネルギー供給構造を目指し、原子力発電の推進、再生可能エネルギーの導入・拡大、化石燃料の高度利用、電力・ガスの供給システム強化を図る。原子力発電については、去る4日に発表の「原子力発電推進行動計画」と整合性をとった目標が掲げられている。

また、「低炭素型成長を可能とするエネルギー需給構造の実現」に向け、各部門で講ずるべき取組を述べたほか、革新的エネルギー技術の開発、国際協力の強化、国民との相互理解、人材育成、地方公共団体の役割などにも言及している。

   ◇   ◇   

経産省政策会議の資源・エネルギー・環境専門委員会(主査=三谷光男・衆議院議員)は先月、今次基本計画見直しに際し、「電力安定供給の基幹電源であり、地球温暖化対策にも切り札」として、原子力発電をエネルギー供給構造改革の最優先課題に位置付けるべき、などとする意見書をまとめている。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで