経産省 保安活動の評価発表 新検査制度下で試行

経済産業省の原子力安全・保安部会「検査の在り方に関する検討会」(委員長=関村直人・東京大学工学系研究科教授)は14日、国内原子力発電所の保安活動の状況を客観的に評価する「保安活動総合評価」をとりまとめた。09年度より本格運用を開始した新検査制度の実効性向上を目的に試行されたもの。

具体的な評価は、発電所で発生した事故故障、検査で指摘された事項等に関する影響ごとに、安全機能、放射線影響、品質保証の観点から「I」〜「V」の5段階(逸脱・リスクの重い順)に区分した「安全重要度評価」(SDP)と、安全性にかかる運転状況を計画外停止回数などの運転実績指標を用いて、「レベル1」から「レベル3」および「安全運転上の問題なし」(同)に区分した「安全実績指標評価」(PI)の2つを組み合わせ、各号機ごとの保安活動の総合評価を導く。

総合評価は、「課題は見いだされなかった」、「軽微な課題が見いだされた」、「課題が見いだされた」、「重要な課題が見いだされた」、「許容できない課題が見いだされた」の5段階で、「課題が見いだされた」、「重要な課題が見いだされた」、「許容できない課題が見いだされた」の評価となった号機については、抽出された課題内容を、次年度の検査・審査計画に反映することとしている。

このほど、取りまとめられた09年度試行結果では、「課題は見いだされなかった」と「軽微な課題が見いだされた」が29プラント、「課題が見いだされた」と「重要な課題が見いだされた」が23プラントで、「許容できない課題が見いだされた」はゼロだった。保守管理不備が問題となっている中国電力島根1、2号機は評価留保となっている。原子力安全・保安院では、今回の試行結果について、保安活動は「概ね適切に維持・運用管理されている」などとしている。

本制度については、評価方法の充実など、高度化を引き続き行っていくことが重要との考えから、今後3年程度、さらに試験的運用を実施し、より精緻化を図っていく。


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