岡田外相会見(6/25)の詳報 日印原子力協定の交渉開始

1面所報、岡田外相の日印原子力協力協定締結交渉開始の25日記者会見の詳細は以下の通り。

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日印原子力協定に関して、28日、29日、東京で日印原子力協力協定の交渉開始、第1回交渉を予定している。

日印原子力協定については非常に難しい問題、簡単には答えが出ない問題であるが、慎重な検討を行ってきた結果、協定締結に向けて交渉を開始することを決めた。

2008年9月に原子力供給国グループ(NSG)で、インドに対して一連の約束と行動を前提条件にして、原子力の平和的利用協力を例外として認めることとした。全会一致であり、日本政府もこれに賛成した。

インドはNPTに加盟していないということもあり、将来の核不拡散ということを考えたときに、それに対する影響ということも当然考えられることではあるが、しかし逆にNPTの外側でまったく外にいるということよりは、国際的な核不拡散体制に関与させ、一定の範囲で不拡散分野で責任ある行動をとらせるということで、国際的な不拡散体制に取り組むという契機になるという判断もあり、行われたものである。

我が国は例外化の決定後もインドの行動に注視してきたが、その後のインドの約束と着実に行動に移していることを確認した上で、今回の決定になったわけだ。

合わせて、気候変動・地球温暖化対策とか、インドと日本との二国間関係、我が国のエネルギー・産業政策などの観点も合わせて考えて、この決定に至ったものである。

もちろん、協定交渉を進めるに際しても、核不拡散の視点にも十分配慮していくことが重要であって、インドに対し引き続き核不拡散に対し、一層の取り組みを求めていく考えである。

質問 核保有国のインドと協力するということだが、国内の被爆感情をどう考えるか。

応答 日本は唯一の被爆国であり、同時にだからこそということもあるが、核の不拡散を実現していかなければならない。将来的には核なき世界を目指して、核軍縮も含めてしっかりと対応して行くことが日本にとって重要な政策だ。

NPT未加盟のインドには、核実験実施の際には日本も制裁を行った。NPTの枠外に放置しておくことがいいのか、不十分ではあるが、一定の枠内に関与させていくのがいいのか、国際社会の中でいろいろな議論が行われ、NSGで全会一致で後者の選択を行ったわけだ。日本国内でもさまざまな議論があった。

そこで、方向性が固まったときに、日本だけが原子力協力を行わないと――これも1つの選択とは思うが、それはほとんど大勢に影響がないというか、日本にとってはもちろん影響はあるわけだが――核不拡散、核なき世界を目指すという観点からいうと、インドに関する取り扱いの流れはできたので、日本だけがそれとは違う判断を行うということは困難になってきたということだ。

他方で、先ほど言った積極的な理由もあるので、総合判断して非常に苦しい判断ではあるが、原子力協定締結を目指すということにした。

質問 タイムスケジュールはあるのか。

応答 これからなので、特にはない。中身次第でもあるが。作る以上はしっかり議論して、迅速に締結を目指したい。

質問 不拡散を具体的にどう担保するのか。

応答 1つには核実験ということについて、どう考えていくのかという問題がある。今後の話し合いの中で、しっかりと一定の歯止めを設けることができるようにしていきたいと思っている。

質問 地球温暖化対策としての原子力協力を言われたが、日本の原子力技術の移転とCO25%削減との関係は。

応答 CO25%削減とは直接関係ない。温暖化ガス排出が増加するBRICs諸国に対して、原子力発電が広がるということは、歓迎すべきことだ。日本のメーカーがこれからどうするかは、これからの議論だが、他国のメーカーが関与しているものであっても、日本の技術が必要とされる部分はあるので、そのようなことも考慮の1つになっている。


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