システム懇特別講演 中西輝政・京大教授「官民で日本のエネ考えて」

原産協会の原子力システム研究懇話会(代表代行=田畑米穂・東京大学名誉教授)の総会がこのほど開かれ、京都大学の中西輝政・大学院人間・環境学研究科教授が「日本と世界のゆくえ」と題する特別講演を行った(=写真)。

中西教授は、昨年夏の政権交代以降、財政危機や普天間基地問題に代表される外交・安全保障上の懸念が深まっている一方、直近の参議院選挙の結果次第では一層の混迷が予想されるとして、昨年を上回る激動が予感される今年後半の展望やあるべき対応について考えてみたい、と前置きした。 以下、講演の概要。

   ◇   ◇   

20年前、冷戦の終焉でベルリンの壁が崩壊し、歴史的大転換が起こった。国家の果す役割が今までとはまったく異なる時代を迎え、一国の政策、国益ではなくグローバルなもっとボーダレスなものとなった。世界を廻って、日本人とは世界像が大きく異なると感じ、将来、日本外交は大きく誤るのではないかと危惧した。

日本の政治は大きく漂流している。あと数年はトライアル・アンド・エラーの時代ではないか。

国家が再び中心になって、世界を再構築することになる。各国の財政危機が今後さらに大きな危機を招く。「公正」が世界の秩序たり得ないことは、ほぼはっきりしている。世界秩序の動きに日本は遅れる。

戦後、日本の軍事産業が占める役割の大きさを米国の専門家が指摘している。国家や国益があってこその国際社会であり、グローバル化だ。国家の枠組みの基本に、いつ国民が気がつくか。お金で換算できない大事なものがある。官民が一緒になって、日本のエネルギーの将来を考えてほしい。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで