ポーランド 米国と原子力共同宣言 原子炉建設で米企業にも機会

在ポーランドの米国大使館は14日、米国とポーランド両国が原子力部門における産業および商業協力で共同宣言に調印したと発表した。

ポーランドが進めている同国初の民生用原子力発電所建設計画において、米国の原子力企業にも公平に参入の機会を与えられるよう道筋を付けるためのもの。米国はポーランドが加盟する欧州原子力共同体(EURATOM)と平和利用分野における原子力協力協定を締結済みだが、具体的な原子力貿易が実現するまでにはポーランドが国際的な原子力損害賠償責任体制に参加するなどのハードルが残っていると見られている。

この日、共同宣言に署名したのは、ポーランド政府原子力エネルギー開発全権委員のH.トロヤノフスカ経済省次官(=写真右側)と米商務省のF.サンチェス国際貿易次官。サンチェス次官は12日から13日にかけて、「ポーランド民生用原子力政策に関する米国貿易ミッション」を率いて同国を訪問していたもので、目的はポーランドの原子力発電開発計画に米国企業が提供できる原子力技術やサービスおよび経験をアピールすることだ。米エネルギー省(DOE)と国務省の代表、および米国の主要な原子力企業10社の幹部が参加したとしている。

宣言文はまず、両国が核不拡散条約(NPT)に加盟済みであるとともに、追加議定書を含めた国際原子力機関(IAEA)の保障措置体制を確実に遵守する点を確認。また、米国とEURATOMが95年に締結した原子力協力協定における協力範囲に基づいて、両者の合意事項を次のように列記した。

すなわち、(1)原子力発電所建設と関連インフラ・サービスの提供で原子力企業の参加を奨励する(2)原子力部門の入札や契約手続きは公平でオープン、かつ透明性のある方法で推進(3)原子力発電所の建設等に関する契約先は商業的および技術的な利点に基づいて選定されることを原則とする(4)新規原子力発電所等の建設支援のため信頼できる供給チェーンを整備する(5)国際的な損害賠償体制への参加について協議する(6)ポーランドで今後建設される原子炉が信頼性の高い燃料供給サービスにアクセスできるよう国際的な調整を促進(7)原子力関係の人材育成や訓練、IAEAの基準に基づいた民生用原子力利用といったインフラ整備を促進する――など。

ポーランド・エネルギー・グループ(PGE)は2サイトで合計600万kWの原子力発電所建設を計画しており、初号機は2020年の運開が目標。米国のウェスチングハウス社、GE日立社とはすでに協力覚書を調印済みとなっている。


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