仏・原子力代替エネ庁 複数の海外機関と協力

仏国で原子力を含めた持続可能なエネルギーの研究開発を担当している原子力・代替エネルギー庁(CEA)は、この1か月の間に海外の複数のエネルギー関連機関と協力協定を締結した。

仏国原子力産業の今後の発展を支えていくため、諸外国と設備やマンパワー、研究成果を共有することにより、先進的な燃料サイクル技術や次世代炉の開発で資金分担を図り、効率的な開発を進めていく方針だ。

1日に発表されたのは、英国・原子力デコミッショニング機構(NDA)との放射性廃棄物管理や原子力施設の解体・廃止措置に関する協力の枠組み協定。具体的な協力分野としては、(1)解体・廃止措置の方法、コスト見積り、およびプロジェクト管理(2)廃棄物の回収と処理、関連コストの見積もり(3)輸送(4)土壌汚染、汚染評価の方法、および環境影響評価――が挙げられている。

6月25日には、ドイツのエネルギー・グループであるE・ON社と協力枠組み協定を締結。ここでは原子力エネルギーの将来利用に焦点を絞った新しい研究開発プロジェクトの実施を目的としている。

両社共通の関心事項である、現在、主力として稼働中の第2世代原子炉、およびいくつかの国で建設が始まっている第3世代原子炉に関するプロジェクトを行うほか、燃料サイクル・オプションを組み合わせた将来の第4世代原子炉についても、今世紀半ばの商業利用を目指し、協力して研究開発していく考えだ。

E・ON社は同協定に基づいてCEAの研究成果が利用可能となる一方、CEAは仏国外で計画あるいは実施中の研究プログラムの中に複数の炉型を加えることができるとしている。

ロシアの原子力総合企業であるロスアトム社とは、6月8日に使用済み燃料再処理技術や廃止措置など幅広い分野における共同研究実施で二国間協力協定を結んでいる。

同協定は両者が過去に締結した2つの協定を更新する位置づけだが、協力分野は大幅に拡大。原子力エネルギーの開発戦略に始まり、燃料サイクルや次世代型原子炉の開発、将来のガス冷却炉、放射線安全、核物質安全の基礎研究、緊急時対策など、多岐にわたっている。

協力活動の中でもっとも大きな部分を占めるのが使用済み燃料と放射性廃棄物の再処理技術開発について。原子力施設の廃止措置やそれに伴う放射性廃棄物管理、医療用・工業用の放射性同位体の生産と活用に関する協力にも力を入れる方針だ。

なお、自動車メーカーのルノーとは、戦略的協力協定を締結。電気車両や新エネルギー、清浄燃焼エンジンなど、クリーン車両とその持続的な可動性に関する技術研究で協力していくとしている。


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