「日米原子力協定の検証」寄稿文掲載に当って

原子力ルネッサンスの熱気が世界を駆け巡っている。新興国の台頭、人口増大、地球温暖化の脅威などに対応するため、不可欠な選択肢として世界各国が原子力に注目している。

他方で、核兵器拡散の懸念が地域の不安定さを助長する問題として、政治的に大きくクローズアップされている。

そんな中で、日本は世界で唯一非核兵器国として、六ヶ所再処理工場の竣工、高速増殖原型炉「もんじゅ」の正式運転への新たなフェーズを迎えようとしている。

日本の原子力開発を政治的にも技術的にも可能にしてきたのは、基本的には米国の合意があったからこそであり、その礎となるのが日米原子力協力協定だ。しかし、現行協定の締結に至る道程は決して平坦なものではなく、官民あげた先人達の努力で獲得したものだ。保障措置実施の優等生と称される日本の“一国開発モデル”が、世界の原子力開発潮流の中で、理想型として輝くか時代遅れの産物となるか、今後の趨勢を世界が注目する。

日本は現在、署名済みを含め新たに6か国と原子力協定を締結しようとしている。この時期に、日本の原子力開発の基礎を形づくり、将来にも大きな影響を与える日米協定の歴史的検証について、後半の時期には交渉当事者でもあった遠藤哲也氏に寄稿頂いた。


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