ヨルダンの研究炉建設計画 韓国が低金利融資提供

ヨルダンの計画・国際協力省(MOP)は7月26日、同国初の研究炉建設で、プロジェクトを請け負った韓国が7000万ドルの低金利融資を提供することで両国が合意したと発表した。

研究炉はヨルダンの原子力発電開発計画の第一歩となるもので、これに続いて100万kW級の発電炉をアカバに建設する計画も進捗中。同国はすでに、韓国、仏、露、英、加、スペイン、中国などと原子力貿易の枠組みとなる原子力協定を締結したほか、日本とは26日に協定の締結で実質合意した。米国とも数か月以内に締結にこぎ着けるとしており、同計画受注を巡る攻防は一層激しくなる見通しだ。

同計画では、首都アンマンの北67キロメートル、ラムサにあるヨルダン科学技術大学(JUST)に熱出力5000kWの新型高速中性子束応用炉(HANARO)を2015年までに建設する。「ヨルダン研究訓練炉(JRTR)」の呼称で国内の原子力科学技術センターの中核とする予定で、原子力エンジニアや科学者を教育訓練する施設として役立てるとともに、将来的には出力を1万kWまで上昇させ、放射性同位元素の商業生産や中性子化学の先進的な研究にも利用するとしている。また、同炉を中心に、燃料製造施設や放射性廃棄物施設、冷中性子施設を併設することも検討されている。

融資に関する合意文書には、MOPの大臣とヨルダン駐在韓国大使が調印した(=写真)ほか、韓国輸出入銀行の上級幹部が同席。金利0.2%で支払い猶予期間は10年間、返済期間は30年以上という条件だ。総工費1億3000万ドルの残りの資金はヨルダン原子力委員会(JAEC)が調達する。この合意を受けて、同建設計画は正式に着手されたことになり、記念式典を開催。起工式もJUST内での適合性評価が終わり次第、10月頃に行う予定で、翌11月から約56か月の建設工事を開始したいとしている。

MOPによれば、原子力は国内総生産額の13%を費やしているエネルギー輸入(09年実績)から解放されるための重要な要素。研究炉で基盤作りをした後は、15年以内にアカバ近郊で出力100万kW級の第3世代原子炉を2基建設する計画だ。現在、JAECとコンサルティング会社がカナダ、ロシア、および日仏連合の候補の中から選定作業中。将来的には電力輸出国に転じたいとの抱負を明らかにしている。


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