180万kW級次世代軽水炉 国際標準炉として開発 官民一体プロジェクト プラント概念まとめる2030年頃から本格化が見込まれる原子力発電所のリプレースに備え、官民一体で取り組んでいる次世代軽水炉開発の中間評価が17日、プロジェクト中核機関のエネルギー総合工学研究所より原子力委員会に報告された。将来の海外市場進出も見据え、国際標準炉としての条件も整理し、電気出力170〜180万kW級のBWRとPWRそれぞれについて、プラント概念をとりまとめたもの。本評価を踏まえ、国、事業者は15年までに基本設計完了を目指し、引き続き官民一体となって開発に取り組む。 次世代軽水炉開発は、およそ20年ぶりのナショナルプロジェクトとして、08年度より開発を開始し、関係各機関協力により、プラント概念成立性の見通しを得るための概念設計検討、要素技術開発が進められてきた。既設プラントのリプレース需要は、国内、欧米を合わせると、2030〜50年の間に約270基に上り、これらへの対応の他、さらに、新規導入国での需要増大も見込まれることから、開発目標の設定に際しては、次世代炉の魅力として、「建設単価・発電コストの低減」、「世界最高水準の安全性」、「運転しやすく使いやすいプラント」を掲げるなど、国際標準炉にも遜色ないよう検討してきた。 次世代BWRの概念は、既に建設経験と運転実績のあるABWRをベースに、インターナルポンプ、制御棒駆動機構などの優れた特長を有する技術を踏襲し、電気出力は176万kW。一方、次世代PWRの概念は、APWRで取り入れた炉心や蒸気発生器などの大型化と信頼性向上を継承し、電気出力は178万kW(4ループ)に設定している。 新規導入国のニーズにも鑑み、BWRではインターナルポンプの台数減、PWRでは2ループ化により、80〜100万kW級の中規模出力にも対応可能となっている。いずれも、先進建設工法の高度化、30か月の世界最短工期等により、経済性を向上させ、免震装置の採用などにより、世界最高水準の安全性を目指すほか、24か月運転サイクル、設計寿命80年、時間稼働率97%(2年間のうち約22日の停止に相当。ハイ・パフォーマンス=HP)の運営・運転・保全性向上も図る。特に、次世代BWRでは、今後の材料開発により、シュラウドの80年交換不要を、PWRでは、約40%の世界最高熱効率で電気出力の向上を目指す。 今回の中間報告では、12年度末まで概念設計を継続し、13年度以降は要素技術開発の進捗・成果を取り込みつつ、15年までに基本設計を完了し、24年度末頃には実用化可能なロードマップを策定することとしており、これまで2年間の取組で期待通りの成果が得られたと評価している。 |
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