民主連立初の本格予算 新成長戦略の着実実行めざす 経産省は原子力10%増を要求 文部科学省は前年度並みに

政権交代後、民主党・国民新党による連立政権初の本格的な予算編成となる11年度概算要求が8月31日までに、各府省より出そろった。今回の概算要求に当たっては、今年6月に打ち出した「新成長戦略」の着実な実行をめざし設定された「元気な日本復活特別枠」に、各府省が経済成長、雇用拡大、人材育成などに通じる施策を精査し、要望額として計上している。原子力関連では、経済産業省が1924.8億円(対10年度比9.7%増)、文部科学省が2197.2億円(同0.1%増)を要求した。

〈経産省 ビジネスモデル転換を促進〉

経産省は、総額で1兆4586.8億円(同2.4%増)、うち一般会計が4119億円(同0.2%増)、エネルギー対策特別会計が7579.9億円(同8.5%増)を計上した。概算要求額確定に先立ち行われた産業構造審議会総会(会長=米倉弘昌・日本経済団体連合会会長)の冒頭、直嶋正行大臣は、わが国経済・産業を取り巻く課題として、(1)特定の産業への過度の依存(2)日本企業の「ビジネスモデル」転換の遅れ(3)わが国の「事業拠点としての魅力」喪失――を、指摘した上で、「新成長戦略」、「産業構造ビジョン2010」の実現に向けた施策を強力に推進すべく、11年度重点政策「新成長戦略アクション100」を同審議会(=写真)に諮り、了承を受けた。

その中で、資源・エネルギー関連では、今年6月に策定された「エネルギー基本計画」の実現に不可欠な政策群を着実に実施すべく、エネルギー特会の要求額は、本年度より642億円の増額、原子力についても、「エネルギーの安定供給と低炭素社会の実現に不可欠」との位置付けから、安全の確保と国民の理解・信頼を前提に、積極的推進を図るよう、同170億円増額している。具体的には、電源立地地域対策交付金が、発電量に応じた傾斜配分など、さらなる制度改善を目指し、同7.3%増額となる1177億円を要求しているほか、発電用新型炉等技術開発で73.9億円(同32.0%増)、次世代軽水炉等技術開発で21億円(同8.2%増)新型ガラス溶融炉開発で24.5億円(同36.1%増)など、核燃料サイクル早期確立に向けた取組強化を図る。

また、原子力安全・保安院では、今年度より微減となる総額321億円を要求、うち原子力安全関係は287.2億円となっている。

〈文科省 ITER関連予算は増額〉

文科省は、一般会計で5兆8348.1億円(同4.3%増)、エネルギー特会で1418.8億円(同0.5%増)を要求した。

原子力分野は、高速増殖炉サイクル技術で408.1億円(同3.1%減)、ITER計画推進で117.4億円(同18.5%増)を計上しているが、「特別枠」として、「高度な3S『人材・技術』を活かした日本発原子力の国際展開」で154億円、「日本発の重粒子線がん治療技術の高度化・海外展開」で22億円をそれぞれ要望しており、わが国の強み・特色を活かした施策パッケージを通じ、原子力導入国への核不拡散・核セキュリティの強化支援、医療分野での「安心」技術の発信などにより、「人材・技術」の世界展開を図る。


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