米TVA 今後の経営方針原子力に比重

米国のテネシー峡谷開発公社(TVA)の理事会は8月20日、同社の今後20年間の経営方針となる「将来ビジョン」を採択し、温室効果ガスの排出削減とエネルギー効率改善の観点から、原子力への比重を一層高めていくことを決定した。

同社のT.キルゴア最高経営責任者によると、TVAの基本使命は変わらない一方、時代の経過とともにエネルギー産業界に要求される事項も変化する。一層クリーンなエネルギー社会の実現に向けて米国をリードするTVAとしては、石炭火力への依存を軽減する傍ら、原子力発電の比重を高めて大気の質を改善。エネルギーの効率化と温室効果ガスの削減に努めていくとしている。

こうしたビジョンを実行に導く「総合資源計画」については、9月中に案文を公表し、パブコメに付す計画。来年春には最終決定することになる。

TVA理事会はまた、同じ日に2011会計年度の予算案を承認。ここでは、アラバマ州北部のベルフォンテ原子力発電所サイトに新たな原子炉を建設するオプション維持のための2億4800万ドルを計上した。

同サイトでは70年代に1、2号機が建設されていたが、電力需要の低迷に伴い88年に作業は中止。07年には新たな許認可システムの実用性評価のため、3、4号機(各AP1000)の建設・運転一括認可(COL)を申請したが、1、2号機の敷地の活用オプションとして、新たにAP1000を1基、建設する案も含まれている。TVAが実施した今後の電力需要に関する調査では、2020年までに新たな発電設備が必要との結果も出ていることから、同社は来年にもこの件について最終判断を下す考えだ。

なお、08年1月に建設工事を再開したテネシー州のワッツバー2号機に関しては、6億3500万ドルを計上。2013年の完成を目指して作業を進めていく。


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