田中科学 微弱なX線検出可能に 硫黄濃度を精緻測定

計測機器メーカーの田中科学機器製作(東京都足立区)は、日本原子力研究開発機構(JAEA)の協力のもと、検出限界を同社従来製品比3分の1に改善したエネルギー分散型蛍光X線硫黄分分析装置(=写真)の開発に成功した。

近年世界中で石油製品中の硫黄含有量の低減化が図られてきており、分析装置メーカーは微量硫黄分を測定するために測定精度の向上が求められている。

エネルギー分散型蛍光X線分析装置で微量硫黄含有量を高精度に測定するには、測定系のバックグランドノイズを低減すると同時に、低濃度の硫黄から発生する微弱な蛍光X線信号の検出が必須。JAEAは高度な放射線輸送評価技術およびエレクトロニクス技術を活用し、測定信号に含まれるノイズを極限まで抑制した。結果、試料照射用X線発生部から蛍光X線検出部までの放射線輸送の最適化と、微弱な蛍光X線信号を増幅して正確かつ高速でカウントするエレクトロニクス部の新たな開発を実現。これらの高精度化改良設計によって、従来製品より短い測定時間でより低い硫黄含有量の測定を可能にした。

同エネルギー分散型蛍光X線硫黄分分析装置は、1日から3日まで千葉県幕張メッセ国際展示場で開催される分析展2010.科学機器展2010(日本分析機器工業会と日本科学機器団体連合会との合同開催)に出展展示される。年内には国内をはじめ全世界向けに製品の販売を開始する。


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