ベトナムの原子力開発プロジェクト 計画推進で露と協定へ

ロシアの原子力総合企業であるロスアトム社のS.キリエンコ総裁は3日、ベトナムのハノイで同国のグエン・ミン・チェット国家主席やグエン・タン・ズン首相、および関係閣僚らと会談した。同国初の原子力発電所建設計画について、ロシアによる建設費の融資保証を含めた両国間の協力協定を、今年10月のD.メドベージェフ露大統領によるベトナム訪問に合わせて調印することで合意に達した。プラントを提供するだけでなく、建設費の調達から操業に至るすべての段階で支援を約束するという方式で、ロシアは確実に新規導入国での市場を確保しつつある。

ベトナムは2030年までに5県の8地点で14基・1500万kWの原子力発電設備開発を計画。ニン・トゥアン省では2地点で100万kW級原子炉を各2基、建設することが決定しており、ロシアは第1期分の2基を建設することで昨年12月にベトナム電力公社(EVN)と覚書に調印した。初号機は2020年までに完成させる予定だ。

ロスアトム社の発表によると、同協定で予定されている協力のポイントはロシア政府による建設費の融資保証のほかに、(1)原子炉の操業期間全体にわたりロシアが燃料を供給(2)再処理のために使用済み燃料を引き取る(3)原子力技術開発に関する科学技術センターを設立する――など。これらを通じて原子炉の安全確保と、ベトナム国内での放射性廃棄物の扱いといった課題が解決されるとともに、ベトナムにおける原子力専門の人材育成が促進されるとしている。

この支援に関してロシアはすでに8月末、本格的な訓練プログラムを提供できる特別センターをオブニンスクに開設。10月までにベトナムから第1陣の学生を受け入れたいと表明した。

また、ロシアのエンジニアリング会社であるE4グループが、EVNの指名で同プロジェクトの実行可能性を調査。その結果に基づいて融資条件を調整することになる。


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