ポーランドの原子力計画 完成時期を2年先送り

ポーランド経済省は2日、同国初の原子力発電所建設計画で初号機の完成時期が当初計画から2年先送りされ、2022年になる見通しだと発表した。

同省は昨年8月、同建設計画案および開発ロードマップを公表した。発電所を実際に建設・操業するために設立される企業連合の51%を国営のエネルギー・グループ(PGE)が保有し、出力各300万kWの原子力発電所を2か所(基数の合計は最大4基)で建設。2020年に最初の1基を、その数年後に後続炉を運開することになっていた。その後、同計画の投資手続きについてPGEが最良の実施慣行などを集中的に調査した結果、日程を2年先送りするのが妥当と判断するに至ったもの。

しかし、投資問題のほかにも、原子力安全に関する許認可や放射線防護といった規制面での法整備など重要な準備作業が山積み。政府の原子力エネルギー開発全権委員であるH.トロヤノフスカ経済省次官は、「日程は非常にタイトだ」との見解を示している。

同計画案は100ページ以上におよび、11分野の行動計画を明示。改訂されたスケジュールとともに1日付けで同省が承認しており、外部機関のコンサルティングに付した後、今年末までに政府が決定することになっている。

〈原子力規制の法整備〉

規制面では2014年までに現在の国家原子力機関(PAA)を改組して原子力安全・放射線防護委員会を設置する予定。それまでに、有資格の査察官を中心に必要な人員を雇用する。技術的な規制要求項目に関しては、欧州連合(EU)と米国で適用されている高い安全基準をクリアできるような原子炉技術の採用を想定して設定する。

また、新たな原子力機関を2012年に設立。現在、エネルギー省が受け持っている原子力関連業務の大半を引き継ぐことになる。

法整備の中で最も重要な「原子力法案」と「原子力損害賠償に関する民事責任法案」については、1日に管理省が案文を承認しており、来年7月の発効を目指す段取りだ。

〈バックエンド関係〉

トロヤノフスカ次官によると、原子力法案は発電所の建設・運転の準備プロセスのほかに放射性廃棄物や使用済み燃料の管理、廃止措置を扱う組織と財務活動についても明記。これに関連して、「放射性廃棄物と使用済み燃料の処理に関する国家計画」を年末までに政府に提出し、これらを取り扱うシステムやコスト、スケジュール等を勧告するとしている。

同次官はまた、使用済み燃料は原子炉でリサイクルするのがより良い処理方法だと多くの専門家が指摘したが、それには特別な処理施設が必要であるため、英仏や日本、ロシアに移送しなければなるまいと述べた。

なお、ポーランドはすでに昨年11月、仏電力と原子力発電所建設支援に関する協力支援で共同宣言に調印。今年4月には米国のウェスチングハウス(WH)社およびGE日立社とも協力覚書を締結済みとなっている。


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