大綱ヒア 谷口IAEA前事務次長が意見 「危機感を持って新展開を」

第8回原子力政策大綱の見直しの必要性に関する有識者ヒアリングが14日行われ、谷口富裕・国際原子力機関(IAEA)前事務次長(原子力安全・セキュリティー局担当)から意見を聞いた。

8月にIAEAでの任期を終えて帰国したばかりの谷口氏は、危機感の薄い日本の現状に懸念を示し、日本が世界の原子力開発の先頭集団に残るべく、グローバルな視点から原子力政策の新展開を図るためにも見直しは当然とした。

国と原子力委員会の中心課題は、原子力に関わる安全保障(平和)と持続可能な発展(開発)であるとし、人材育成と国内関連組織の国際対応力強化、特に関係する事業者、規制当局、政府の役割と責任の明確化・積極的連携・体制整備が重要だと語った。

当面は10〜20年先の市場性を重視して、軽水炉高度化と小型炉の開発にさらに注力し、核燃料サイクル事業のマルチ化と競争力強化を念頭に置いた技術開発を進めることを提案した。さらに基礎分野と技術フロンティアの拡大の重要性についても述べた。

また、アジアの視点を中心に、日本自らの総合能力向上と体制・インフラの整備先進国から開発途上国へ従来型の一方向的(垂直的)知識移転を超えて相互・双方向の「水平的経験共有・学習」をめざすべきだと主張した。

日本は速やかな世界標準適合化と総合的組織能力向上を通じて官民あげての努力をし、国際秩序とルールの受け手から作り手へと、より積極的・創造的な対応をするべきだと力強いメッセージを送った。

海外協力のあり方に対する質問については、日中韓が協力していくことの現実的な難しさについて語り、日本が主導権を握るには、インドやロシアとの関係も維持しつつ交渉していくことが求められると述べた。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで