大綱ヒアリング大詰め 意見内容まとめ 見直し肯定派多数

原子力政策大綱の見直し論議が大詰めとなっている。7月以降、計8回の定例会議での有識者ヒアリング、9月に入ってからは、一般市民からの「ご意見を聴く会」も福井、青森、東京の3か所で行われた。

原子力委員会が5日に報告したところによると、各会場の参加者合計は387名で、辞退者を除く発言希望者全員が直接意見を述べた。発言者66名のうち、28名が「見直しが必要」、11名が「見直す必要がない」、残る27名には明言はなかった。会場アンケートでは、「抜本的に見直しが必要」が33名(14%)、「部分的に見直しが必要」が132名(55%)、見直しの必要なしが65名(27%)無回答が9名(4%)だった。7月下旬より約2か月実施したパブリックコメント募集には、1206名から1523件の意見が寄せられた。

青森、東京では、折りしも、六ヶ所再処理工場のしゅん工延期が日本原燃より発表された時期と重なり、高レベル放射性廃棄物処分問題を始め、核燃料サイクル政策のあり方に関する意見が強調されていた。

青森会場では、日本労働組合総連合会青森連合会長の石田隆志氏は、エネルギー基本計画が政策大綱よりかなり踏み込んだ内容になっているとした上で、整合性をとった見直しを行う必要があることした。また高レベル放射性廃棄物処分については、最終処分地の早期決定に向け、具体的計画を明記するよう求めた。

また、県立郷土館の解説員を務める山田五月氏は、六ヶ所村の核燃料サイクル施設について、マスメディア対応を含め、正確な情報を流す環境作りの必要を強調した。高レベル放射性廃棄物については、処分地選定を公募する手法を考え直すべきと指摘した。

一方、東京会場では、内山洋司氏(筑波大学システム情報工学科教授)が、高速増殖炉開発は進める必要があるとしたものの、高温ガス炉と核融合については大型発電炉として開発していく必要性は小さいなどと分析した。その上で「ぶれない技術開発」が推進されるよう、政策大綱見直しに対する見解を述べた。また、核燃料サイクル政策のコスト再試算の必要性にも触れ、燃料サイクル技術を信頼性あるものとするよう事業者に訴えた。

崎田裕子氏(環境ジャーナリスト)は、市民がこれらの問題に参加する仕組み作りを求めたほか、政策大綱のあり方については、「国民と共に創る」ことを訴えた。

また、本紙既報の通り、「原子力政策円卓会議2010」が、政策大綱見直しに関する提言を先月16日にまとめているが、取りまとめ役の飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所長)が意見陳述者として招かれた。

〈特に放射性廃棄物処分問題に関する参加者からの主な発言〉
・原子力施設を抱える地域だけの問題ではなく、文明を享受する皆で考えるべき。
・国が全面的に責任を負うという固い決意を。
・ステークホルダー参画のあり方についての法整備も必要では。
・少なくとも概要調査地区が選定されるまでは再処理事業は中断すべき。
・高レベル放射性廃棄物から資源を取り出す可能性は。
・処分問題が国内で解決できていないにもかかわらず、国際展開を主張するのは誤り。
・これを解決せずして原子力は成り立たたぬ、最優先課題として大綱に明文化すべき。

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なお、21日の午後2時より、青野由利・毎日新聞論説委員、滝順一・日本経済新聞編集委員兼論説委員、竹内敬二・朝日新聞編集委員兼論説委員、長辻象平・産経新聞論説委員を迎え、有識者からの意見聴取が追加開催される。


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