南アの2030年までの電力供給計画 原子炉6基、新設を計画

南アフリカ共和国のエネルギー省は7日、今後20年間の電力供給計画となる「統合資源計画(IRP)2010」の案文を公表し、パブリックコメントに付した。2030年までに国内の電力需要が倍増することを想定し、原子力と再生可能エネルギーへの比重を大幅に高める内容。2023年から30年にかけて6基の新規原子力発電所を運開させるとしており、今後、これらについて国際入札が実施されると見られる。この関係で同国は、9日付けで韓国と原子力協力協定を締結したほか、中国とも同様の協定を締結する見通し。また、同入札にはすでに、ウェスチングハウス(WH)社も関心を示したと伝えられている。

南アでは2008年、国営電力のESKOM社が2010年〜25年の完成を目処に350万kW〜2000万kW規模の原子炉新設に関する入札を実施。仏アレバ社とWH社が応札したが、その後の国内の政治紛争や財政危機等の影響により、これらの計画は打ち切られている。

計画停電の低減を第1目標に策定されたIRP2010案では、国内の電力需要が現在の約3700万kWから2030年には倍増することを見越し、現在の全発電設備容量である約4000万kWに新たに約5000万kWを増設したい考え。このため、南ア国営電力会社(ESKOM)は短期的な設備投資として今後5年間に3850億ランドを支出するとしている。

原子力については、国内で唯一稼働するクバーグ発電所の2基・180万kWに、ベースロード電源として160万kW級原子炉6基を加え、総発電電力量に占める原子力のシェアも現在の6%から14%に倍増するとしている。同様に再生可能エネルギーのシェアは16%に拡大。温室効果ガスを排出する石炭火力への依存度を48%に下げ、これら2つの電源で支えていく計画だ。

韓国との原子力協力協定は、K.モトランテ副大統領のソウル訪問に合わせ、同行したエネルギー省のD.ピーターズ大臣が韓国の外交通商部・次官と調印した。原子力発電の開発利用分野で、双方のニーズと優先順位に合わせた科学技術および経済面での協力を強化。具体的な協力の1つとして、南アの新設計画についても韓国が受注を目指して入札に参加すると見られている。


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