スペイン議会 35年までのエネ戦略策定へ 原子力の議論は先送り

スペイン議会・下院のエネルギー小委員会は5日、2035年までの長期的なエネルギー供給構造を提案するため、超党派で戦略合意文書をまとめる作業を再開した。既存原子炉8基の運転期間延長については審議を先送りするものの、ゆるやかな脱原子力政策を取る同国で今後の長期的な原子力開発利用方針が定められると見られている。

化石燃料資源に乏しいスペインでは、1960年代後半以降に米仏から原子炉3基を導入。石油危機時にはさらに12基の建設も計画されたが、TMIとチェルノブイリ両事故の影響で5基分の計画が中止に追い込まれたほか、90年と2006年には運転中の2基を閉鎖した。新規建設を行わず、既存炉の運転寿命を約40年とする現政権の脱原子力政策は現在も有効だが、残った8基で総電力需要の17.5%を賄うほか、温室効果ガスの排出量削減問題もあり、世論は徐々に同政策の見直しに傾いていると言われている。

同国の原子力産業団体であるフォロ・ヌークレアールによると、下院の「今後25年間のエネルギー戦略・分析に関する小委員会」は、今年7月末までの1年間で23の提案中9件について暫定的な合意に達し、前半の作業を終了。これまでに様々な企業や団体への諮問を通じて、60以上の意見書を受領した。

同国の既存原子炉8基の運転期間延長については、2011年〜20年までに40年の運転期限を迎える原子炉がないことから、15年頃まで議論を先送りする予定。政府の見解も柔軟化しつつあり、8基中唯一、昨年で運開後40年に達したサンタ・マリアデガローナ発電所は、同年7月に運転認可の13年までの延長が認められている。

フォロ・ヌークレアールとしては、2035年までに既存炉8基の運転認可延長に加えて、新たに3基の原子炉建設が必要だとしており、今年5月には小委員会に対して「260万〜300万kWの発電設備を原子力で増強する」よう勧告した。


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