大学生討論会 温暖化ガス削減目標で 不確実性強調した京大が優勝

外務省は9月26日、「大学生国際問題討論会2010」を東京・文京シビックホールで開催した。学生に日本の外交政策や国際情勢に対する関心と理解を深めてもらうことを目的として毎年行っているもので、説得力、表現力、交渉力などが評価の対象となる。

今年は「日本政府は、すべての主要国による、公平かつ実効性のある国際的な枠組みの構築と意欲的な目標の合意が得られなくても、2020年に1990年比で温室効果ガス25%削減に向けた措置を講じるべきである」を論題とし、その場で肯定側と否定側に割り振られて決められた手順に則り、議論を交わした。

高村ゆかり・龍谷大学法学部教授を審査委員長とし、秋田浩之・日本経済新聞論説委員兼編集員と杉山大志・電力中央研究所社会経済研究所上席研究員が審査員を務めた。

まず書類選考で最終的に選ばれた4組が準決勝戦に挑んだ。立教大学法学部佐々木ゼミチームが肯定側、早稲田大学法学部国際関係論河野ゼミチームが否定側に立った第1試合は、立教大学が資源の多角的調達の必要性から原子力発電の再評価などを訴え、国際社会で日本が環境先進国としてリードしていくことの重要性を主張して勝利した。京都大学公共政策大学院楠葉会チームが肯定側、神戸大学法学部チームが否定側に立った第2試合は、京都大学が日本の優れた原子力技術に注目し、他国へ原子力発電所を輸出すると同時にその国の原子力安全を担保することで、日本の発展のチャンスとしてとらえようと力説して勝利した。

決勝では、立教大学チームが肯定側、京都大学チームが否定側にまわり、立教大学が準決勝と同様の論理で、日本が高い目標を掲げて温室効果ガス削減への取り組みを示してこそ他国への発言力や説得力が増して国益につながるとして健闘したものの、対戦の肯定側の主張するデータやロードマップの曖昧さを指摘しながら、国際的な合意もないまま日本だけが実効性に乏しい目標に進んでいくリスクを論証していった京大チーム(=写真)が最優秀賞の「外務大臣賞」を獲得した。

審査員の論評では、技術的な立場からはほぼ全てのチームに間違いが見られることも指摘されたが、あらゆる分野の知識が必要とされる難しいテーマの討論のために準備したことは、将来も必ず役立つものであり、学生たちの今後に期待するという激励が寄せられた。


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