米TVA ベルフォンテ1の完成想定し 2社に大型機器を発注

米国のバブコック&ウィルコックス(B&W)社は14日、同社の子会社であるB&Wカナダ社がテネシー峡谷開発公社(TVA)から、ベルフォンテ原子力発電所1号機の完成に必要な蒸気発生器(SG)2台の設計・製造契約を請け負ったと発表した。6日にはすでに仏アレバ社が、TVAから原子炉系統設備と計装制御(I&C)系の設計エンジニアリング作業を受注。1980年代に建設工事が中断した同炉について、TVAでは完成させるか否かの判断を来年春にも下す予定で、完成決定が出た場合に備えて大型機器の製造準備を始めたと見られている。

TVAは70年代にアラバマ州北部のベルフォンテ発電所サイトで1、2号機(各120万kW級PWR)の建設工事を開始したが、電力需要低迷等を理由に88年に作業を停止。その後、両炉の敷地活用オプションとして、@建設認可を「延期」状態としたまま何もしないA未完成の両炉のうち1基を完成させるBウェスチングハウス(WH)社製AP1000を新たに1基建設する――を検討していた。

最終判断を下す材料として、TVAではAを提案する最終環境影響声明書(FSEIS)補足案を今年5月〜6月まで公開諮問。得られたコメント中に特段重大な問題提起がなかったことを受け、TVA理事会は8月、1号機を2018年〜20年頃にベースロード電源として利用可能と判断した場合に備え、製造に時間のかかる機器の調達や許認可手続き、および追加設計エンジニアリングの経費として2億4800万ドルを承認した。

同時に理事会は、同公社の今後20年間の経営方針として、一層クリーンなエネルギー社会の実現に向けて原子力の比重を高めるとの「将来ビジョン」を採択。現在、同ビジョンを実行に移すための「総合資源計画(IRP)」を策定中であり、その内容いかんで同1号機の扱いを最終決定する。

同炉は元々、B&W社が建設を進めていたもの。同社の原子力事業は、一部機器の製造部門をB&Wカナダ社に集約したのを除き、1993年にアレバ社が買収しており、完成計画が決定した場合はアレバ社が原子炉系統設備や計装制御(I&C)系、中央制御室を設置する。アレバ社はまた、米原子力規制委員会(NRC)が初めて認可したデジタルI&Cシステムである「TELEPERM XS」を想定してエンジニアリングを行う。

B&Wカナダ社では、2015年にも重さ約500トンのSGを2台、ベルフォンテ・サイトに出荷する予定であることを明らかにしている。


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