米コンステレーション社 原子炉建設計画から撤退

米国で30年ぶりとなる原子炉新設計画の1つを進めていたコンステレーション・エナジー社は8日、米政府の融資保証を受ける際に提示された諸条件が実行不可能だとして、同建設計画から撤退する旨、米エネルギー省(DOE)に通達した。

近年の経済危機による建設費の高騰や天然ガス価格の下落など、新設に伴う財政リスクは再び高まりつつあり、ようやく具体的な形を見せ始めた原子力ルネッサンスに冷水を浴びせないためにも、同制度の適用に何らか改善策を取ることが求められている。

コンステレーション社は2008年3月、フランス電力(EDF)との合弁事業体であるユニスター社を通じて、メリーランド州のカルバートクリフス原子力発電所に3号機(160万kW級EPR)を建設・運転するための一括認可(COL)を規制当局に申請。同計画は昨年5月、DOEの融資保証適用を受ける最終候補計画4件の1つに残り、ユニスター社はその適用条件についてDOEと交渉を重ねていた。

コンステレーション社のM.ワレス副会長はDOEのD.ポネマン副長官に宛てた書簡の中で、保証を受ける際に必要な信用助成金コストとして総保証費の11.6%に当たる8億8000万ドルを財務省に支払うよう要請されたと指摘。「行政管理予算局(OMB)のコスト算定方法には重大な欠陥があり、当社にとっては不当に重荷となる条件だ」と強調するとともに、同社自身の合理的な試算額を大幅に超過する「恐ろしく高額の負担」は、建設計画の経済性を明らかに損なうことになると訴えた。

同副会長はまた、同建設計画に付随するその他のリスクとして、原子力に優位に働く地球温暖化対策法案が未成立であることや天然ガス価格の下落、建設費の高騰といったファクターを列挙。政府の融資保証制度が創設当初の目的である財政的なリスク軽減のために機能しないのであれば、同社はこの計画から撤退し、今後はEDFが同制度の手続きを次のステップに進めていくだろうとしている。

コンステレーション社はすでに、ユニスター社における合弁関係の解消に向けて、EDFと具体的な協議を開始した。15日付けのEDF宛ての書簡によると、コンステレーション社は保有する50%のユニスター社株を、新規炉用敷地代の1ドルを含めて1億1700万ドルで買い取るようEDFに提案。これまで両社が同計画のために投資した総額8億1700万ドルのほんの一部分であると強調している。

なお、この件については、米原子力エネルギー協会(NEI)も、「融資保証制度改良の必要性を改めて浮き彫りにした」との談話を発表している。


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