日本・ベトナム首脳共同声明に明記 「協力パートナーに選定」 原発2基受注に全力 官民一体でのモデルケース

ASEAN関連首脳会議出席のため、ベトナムを訪れていた菅直人首相は10月31日、グエン・タン・ズン首相と首脳会談を行い、ベトナム南東部ニン・トゥアン省に計画される原子力発電所の建設で、「日本をパートナーとする」ことで合意した。両国間の原子力協定締結交渉も実質的合意に達しており、去る22日には電力・メーカー他計13社の出資により、わが国の原子力発電に関わる技術・ノウハウを包括的に提案する「国際原子力開発株式会社」が設立されており、今後、ベトナムでの原子力発電の導入可能性調査、同国からの受注要件を満たすなど正式受注に向けた動きが加速する。

ベトナムでは現在、20年を皮切りに4基の原子力発電プラントの運転開始を見込んでおり、第1期工事は、09年にロシアによる2基建設が事実上決定した。日本ではこれまで、制度整備支援や人材育成のための専門家派遣、セミナー・展示会開催などの二国間協力や、アジア原子力協力フォーラムを通じた多国間枠組で、対ベトナム交流を進めてきた。07年には、日本原子力発電をフィージビリティ・スタディ実施主体とすることが決定、08年には両国政府間の協力文書署名がなされるなど、近年、政府・民間一体となったベトナムへの原子力発電導入に向けた働きかけを活発化してきた。今年4月には当時の鳩山由紀夫首相自らがベトナム・ズン首相に対し、原子力発電導入への協力を働きかけるなど、トップセールスも積極的に行ってきた。

原産協会でも、2000年にベトナム原子力委員会(当時)と覚書を締結、国内への視察団受け入れに対応するなど、早期から交流を図ってきており、今年3月には、同国への協力推進拠点として、ハノイ市にベトナム連絡事務所を設置して協力を強化してきた。

今回の首脳会談では、二国間対話の強化、インフラ整備支援をはじめとする経済協力などについて合意、これらは、会談終了後に両首脳が署名した共同声明に盛り込まれた。ベトナムでは、2サイトに100万kW級原子炉を各2基建設する計画だが、ズン首相は、第2サイト(ビンハイ)の原子力発電所建設について、日本をパートナーとして選定したことを表明するとともに、原子力協定の実質的合意に歓迎の意を示した。

菅首相は、ASEAN関連首脳会議に伴う記者会見で、ベトナムとの協力関係に関する質問に対し、「ASEANの中で大変成長が進んでいる国」とした上で、「協力をすることがベトナムにとってプラスになると同時に、わが国の経済成長にプラスになる」と述べるなど、相互補完関係を強調した。

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大畠章宏経済産業大臣は31日、今回の合意について、両国間で長年にわたり培われた協力関係が「高く評価された結果」とした上で、今後、本プロジェクトを着実に実行すべく、官民一体となって「全力で取り組む」との談話を発表した。

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清水正孝・電気事業連合会会長は同日、「正式な受注に向けて、業界を挙げてJINEDを支援するとともに、わが国の安全かつ信頼性が高い原子力発電所の建設・運転・保守のノウハウを海外に提供する」などとコメントした。

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服部拓也・原産協会理事長は1日、パートナー選定がわが国関係者の絶えざる努力の結果とし、今後、協会として「原子力産業界のさらなる発展につながる海外展開に向けた活動を進めていく」とコメントした。


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