放射性物質輸送の国際シンポ PATRAM2010が英国で開催「第16回放射性物質輸送容器および輸送に関する国際シンポジウム(パトラム2010)」が、10月3日から8日まで英国ロンドンの国際海事機関(TMO)本部で開催された。 パトラムとは、放射性物質輸送に関わる各国の許認可当局、産業界、研究組織等の専門家が一堂に会し、輸送容器と輸送についての情報交換を行う、放射性物質輸送関連では最大の国際会合であり、1965年に米国アルバカーキーでの第1回会合以来3年ごとに開催されている。1992年には日本(横浜)で開催された。 今回の会合は、英国運輸省主催、国際原子力機関、国際海事機関および世界原子力輸送協会の協賛で行われ、参加者約750名、発表論文約400件と、これまでで最大の規模となった。日本も従来どおり、開催準備段階から積極的に関与しており、関係機関・電力・メーカー等約70名が参加した。 シンポジウムは、毎日の全体会合、45の論文口頭発表セッション、11のパネル討論セッション、ポスターセッション、展示から構成され、熱心な発表、討議が行われた。 今回は「未来を見つめて」を副題として将来輸送に焦点をあて、より幅広い分野と地域を取り込んだ。このため、発表は、従来の規制・基準関係、核燃料輸送物開発・設計・試験関係に加え、放射線源・放射性医薬品輸送、大型機器輸送、輸送・貯蔵兼用キャスク、輸送セキュリティや運搬拒否・遅延といった新たな傾向のテーマがシンポジウムに活気を与えた。 日本からは40件の多岐分野にわたる発表が行われ、その中では、輸送・貯蔵にまたがる課題の解決を図る包括的手法に関する発表が注目を集めた。 会期末には、貢献者および優秀発表に贈られる青木賞が発表された。この賞は、元東京工業大学教授で日本の放射性物質安全輸送分野で多大の貢献をされた故青木成文氏が92年当時、横浜パトラムに際して設立されたもの。 日本からは永年貢献者として電力中央研究所の三枝利有氏が、優秀発表として(株)オー・シー・エルのキャスク開発ポスターが受賞した。 参加者、発表とも米・英・仏・独で約6割を占めたが、日本も約1割を占めて放射性物質輸送を積極的に行う国として、役割を十分に果たし、その存在感を示した。 なお、次回のパトラムは2013年8月に米国サンフランシスコで開催される予定。その次(2016年)は日本でとの声があった。 |
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