放医研が開発 加速器でMo99製造可能 国産化も視野に

放射線医学総合研究所分子イメージング研究センターは10月29日、加速器を活用した実用的Mo99製造技術の開発に成功したと発表した。この成果は、11日から13日に埼玉県さいたま市で開催される日本核医学会でも紹介される。

加速器を用いた放射性同位元素の製造では、ターゲットとよばれる原料物質に陽子線等の粒子線を照射し、放射能を持つ新しい物質に変換。まず放射性医薬品製薬企業に導入されている中型加速器を用いたMo99の製造と臨床利用されるTc99mを直接製造する手法について検討し、実用量の製造が可能であることを確認した。さらにターゲットであるMoを水溶液化することで流動性を確保し、照射用ターゲット容器の中で直前に乾燥・固体化させる手法を考案。これらの技術の組み合わせにより、加速器でのMo99製造が可能となる。

現在日本ではMo99供給の100%を海外に依存しており、供給の安定化が求められている。国産化も検討されているが、多大な時間と費用がかかるMo99製造用原子炉の新設・改造に比べ、多くの国内製薬企業や病院施設に既設の中・小型加速器を使用することができれば大きな前進となる。また加速器でのMo99製造では、放射性廃棄物がほとんど発生しないことも利点である。

この技術はすでに関連する特許申請を終え、日本メジフィジックスと実用化を目指した共同研究契約を締結した。


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