電気事業分科会 約1年ぶりの開催 最近の電力政策巡り議論

経済産業省の総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会(会長=金本良嗣・東京大学経済学研究科教授)が12日、およそ1年3か月ぶりに召集され、エネルギー基本計画改定を始めとする最近の電気事業関連政策の動きについて確認するとともに、今後の検討課題に向けて、議論を行なった(=写真)。同分科会が開かれるのは、昨年の政権交代後、初めて。

電気事業政策については、1995年以降、累次の制度改革により、部分自由化の拡大、競争環境の整備が図られており、今後も、13年を目途に、小売部門の自由化範囲拡大を改めて検討することとなっている。また、関連政策では、エネルギー基本計画が、07年の改定から3年を経過した本年、30年に向けた目標を掲げ2度目の改定、事業者による非化石エネルギー源の利用促進を目的とする供給構造高度化法が09年に制定されたほか、これらに基づく政策と整合性を図りつつ、原子力発電推進行動計画もこの6月に取りまとめられている。

討議では、電力業界より、原子力技術の海外展開、継続的革新の重要性を訴える意見があった。また、昼間の需要家にインセンティブを与える太陽光発電買取制度の夜間操業者に対する合理性に疑問を唱える鉄鋼業界の声などもあった。これに対し、ユーザーへの負担が国際競争力を阻害せぬよう「理にかなった制度設計」を求める専門家の意見、金融業界から、再生可能エネルギーの拡大とグローバル競争の仕組み作りを一体的に検討すべきとする指摘もあった。

電気事業分科会では、新たに、「制度環境小委員会」を設置し、主に再生可能エネルギーの導入拡大に関する検討を行なうこととなったが、原子力発電については引き続き、原子力部会で、進捗状況をフォローする。


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