EC 新たなエネ戦略、公表 競争力のあるエネルギー確保

欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会(EC)は10日、2020年に向けた新たなエネルギー戦略案を公表し、EU閣僚理事会とEU議会に提出した。

競争力があり持続可能、かつ確実なエネルギーを確保するため、今後10年間で優先して取り組むべき5つの戦略を特定するとともに、省エネや競争力のある統合市場構築、エネルギー技術開発におけるリーダーシップ強化などに向けた行動項目を設定。原子力についても、再生可能エネルギーとともに技術開発を促進すべきエネルギーと位置付けている。

ECのエネルギー委員会が同戦略の中で特定した優先事項は、(1)欧州におけるエネルギー効率化の達成(2)実質的な汎欧州統合エネルギー市場の構築(3)競争原理の働いた消費者に優しいエネルギー政策、および最高度に安全かつ保証されたエネルギー供給(4)エネルギー技術革新分野における欧州のリーダーシップ促進(5)EUエネルギー市場の対外的な側面の強化。

原子力については、(3)の戦略を具体化するための行動項目として、「原子力安全指令と放射性廃棄物指令の中期的な審査を通じて、原子力安全とセキュリティを確保するための法的枠組みを整備する」と明記したほか、原子炉の設計および認証を国際レベルで一層調和を図るとしている。

また、(4)のための行動項目として、3種類の再生可能エネルギー、二酸化炭素の回収・貯蔵(CCS)、スマート・グリッドとともに、原子力を欧州各国が共同で技術革新を進める6技術の1つに位置付けた。特に国際熱核融合実験炉(ITER)計画に関しては、「EUがリーダーシップを維持してプロジェクト推進に当たらなくてはならない」と言明している。

ECでは今後18か月間にわたって、これらに取り組むための具体的な法的イニシアチブや提案を策定するとしており、来年2月に予定している欧州で初めての「EUエネルギー・サミット」でも同戦略を議題として取り上げ、加盟各国の政府および首脳と協議していく計画だ。


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