仏アレバ社と原子力庁 ナトリウム高速炉を協同設計へ

仏アレバ社と仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)は9日、第4世代の新型ナトリウム冷却高速炉の協同設計で合意に達した。

「ASTRID」の呼称で開発中の高速炉について原型炉の初期設計研究を行うという計画で、2012年までに予備設計の第1段階を完了した後、14年までにその第2段階および詳細設計段階を終了。仏政府は2017年に実証炉の建設に進むか否かの判断を下すことになる。

CEAは1950年代から高速炉開発に着手。高速増殖原型炉フェニックスおよび実証炉スーパーフェニックスで得られた豊富な経験を元に、仏国ではナトリウム冷却による高速炉(SFR)技術の完全な成熟を目指す方針だ。

このため、第4世代炉の長期的オプションとしてガス冷却高速実験炉「ALLEGRO」の事業可能性調査を並行して進める一方、ASTRIDをSFRの基準炉と位置付けて開発しているもの。順調に進めば20年以降に運開し、高レベル廃棄物の燃焼・減容に活用することになる。

今回の計画は、2006年6月に制定された「放射性廃棄物及び放射性物質の持続可能な管理に関する計画法」と、今年9月にCEAと仏政府が結んだ「将来投資プログラム」に関する合意に基づいており、同プログラムの下で立ち上げられた最初の産業パートナーシップとなる。この時の合意で、政府は17年に設計の詳細段階が完了するまでに6億5200万ユーロをASTRID計画に提供すると約束していた。

具体的な作業分担としては、アレバ社が原子炉設計に関する特殊な経験と技術を生かし、ASTRID炉の原子力蒸気供給系と補助装置および計装制御(I&C)系を設計。CEAの研究開発チームはプロジェクト全体の管理のほか、炉心と燃料の設計を担当する。土木工事やタービン系など、その他のエンジニアリング作業については分担仕分けの最終段階中だとしている。

同計画では、高速中性子炉(FNR)が次の4つの第4世代原子炉・基準をクリアできるよう、革新的な設計の実証炉を建設することを目標としている。すなわち、(1)高度な核物質リサイクル(2)EPRと同等の盤石な安全性をASTRIDで実証(3)運転者の高い信頼性と有用性(4)核不拡散上の規制項目との整合性。

ASTRIDの稼働により60万kW程度の発電が期待されるが、商業炉の初号機を建設する前に、それまでのFNR以降の技術革新をテストする実証施設が必要となるとしている。


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