【09年に原子力のシェア回復】

〈OECD/NEA〉

経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)は今年9月、「原子力エネルギー・データ2010(通称=ブラウン・ブック)」を公表した。

32のOECD加盟国における原子力統計データをまとめたもので、2009年(暦年)の総発電電力量、原子力発電電力量、総発電設備容量、原子力発電設備容量、燃料サイクル諸量の実績値、35年までの将来予測等を掲載している。

世界で第4位の原子力開発規模を持つロシアや旧ソ連諸国、今後の開発利用で最も大きな伸びが予想されるインド、中国のデータが入らないという短所はあるものの、欧米諸国の傾向を把握する上では精度の高い統計調査だ。

〈原子力の発電シェア〉

09年にOECD加盟国全体の原子力発電電力量は2兆1303億kWhで、総発電電力量である9兆6746億kWhに対するシェアは22%という結果だった。総発電量が08年実績から約4%減少したのに対し、原子力発電量の減少はチェコやハンガリーなどで原子力発電量が増加したこと等により2%未満にとどまった。このため、シェアも08年の21.6%から0.4ポイント回復した(表)。

〈原子力発電設備容量〉

原子力発電の総設備容量に関しては、加盟国全体で08年実績が3億950万kWだったのが09年は3億930万kWに減少。これは日本で泊3が運開する一方、浜岡1、2が閉鎖したほか、仏国でもフェニックス炉を閉鎖扱いとしたため。総発電設備容量に対する割合は12.9%と変化がなかった。

09年12月31日現在、加盟国全体の稼働中原子炉はカナダで修理中の3基も含めて合計340基、建設中は14基、建設段階への移行が確実と見られる計画中原子炉は24基だった。建設中および計画中原子炉がすべて運開すると、新たに4580万kWの設備が加わる一方、2013年までに、欧州の加盟国で14基・990万kWが閉鎖される予定。

〈原子力政策〉

09年末現在、フィンランド、仏国、日本、韓国、スロバキア、米国で原子炉が建設中であるのに加え、その他のいくつかの加盟国でも09年は原子力政策や開発計画が前進した。例えば、ベルギーで閉鎖期限の間近い原子炉3基の運転期間延長が決まったほか、スペインでも最古の原子炉が4年間の運転延長が認められるに至った。スウェーデンでは政府が新規原子炉の建設モラトリアムを撤回する方向で動いており、ドイツ政府も脱原子力政策からの転換方法を模索中。イタリアでは原子力を再導入するための法的枠組み整備を進めている。

また、ハンガリーでも議会が原子力導入のための予備活動実施を圧倒的多数で支持したほか、ポーランドでは2020年までに最初の1基を運開させることを含め、最低でも2基の原子炉建設を計画している。


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