安全委 基本方針改定 原子力安全の基本原則、明文化へ

原子力安全委員会は2日、「当面の施策の基本方針」を決定した。04年9月以来、およそ6年ぶりの改定となる今回の基本方針では、(1)原子力安全の基本的考え方の提示(2)原子力安全規制制度の運用のさらなる改善等(3)原子力安全規制を支える環境整備等――の3項目を機軸に掲げ、今後、安全委員会が取り組む重要課題を示し、これまで明示されていなかった「原子力安全の基本原則」も明文化することとしている。班目春樹委員長は、基本方針改定に際し、原子力安全規制の国際的整合性や国際的説明性の必要に立ち、「世界に誇れる規制体制」を目指すとしている。

安全委員会は今年6月、近年の原子力安全を取り巻く環境の変化等を踏まえ、基本方針改定に向けた検討を決定。以降、主に本会合の場で、関係行政機関、事業者、有識者などからヒアリングを実施し、今後の取組の方向性を整理した。

同委が規制行政庁からの諮問を受けて行う2次審査で用いる安全審査指針類は現在、細目も含めて60以上あるが、必要に応じて策定・改訂されてきたため、十分に体系化されていない。新たな基本方針では、これまでに策定された指針類が立脚する原子力安全に関する基本原則を、「リスクの抑制水準を把握することなどによって、合理的に実行可能な限りの安全性の向上努力を継続すべきこと」などととらえ、その重要性に鑑み、「最も基本的な原則を明示した文書」を策定することとしている。

原子力安全規制制度の運用のさらなる改善としては、ダブルチェック機能の高度化、指針類の策定・改訂等のあり方に関する検討の他、将来的に導入が見込まれる次世代軽水炉、高速増殖炉について、安全規制上の考え方の整理を行う。

同委下に組織する専門部会は、新方針を踏まえ、改編されることとなる。


お問い合わせは、情報・コミュニケーション部(03-6812-7103)まで