【大臣年頭所感】海江田 万里 内閣府特命担当大臣(科学技術政策) 柏崎刈羽、六ヶ所再処理、「もんじゅ」の取組 日本の原子力界総力をあげて

新年あけましておめでとうございます。

私は、昨年9月17日に発足した菅改造内閣において、原子力政策や科学技術政策などを担当する大臣に着任した直後の9月19日から3日間の日程で、ウィーンで開催されましたIAEA総会に出席しました。そこでは、地球温暖化対策や拡大するエネルギー需要に対応して、国際社会が原子力平和的利用に寄せる期待が一層高まっていることを、改めて強く肌で感じた次第です。

昨年、政府は、新成長戦略の策定、エネルギー基本計画の第2次改定を行い、原子力について、安全性の確保を大前提として着実に推進することを確認いたしました。原子力は、地球温暖化対策とエネルギー安定供給に貢献する有効な手段であり、資源・エネルギー小国である我が国にとって、環境適合性、供給安定性、経済効率性に優れた中長期な基幹エネルギーとしてますます重要となっています。

我が国の原子力政策は、「原子力政策大綱」に基づき、原子力発電を基幹電源として位置付け、核燃料サイクルの推進を基本方針としています。さらに、その着実な推進のためには、安全の確保を大前提とし、国民の皆様方のご理解と信頼を得ていくことが肝要です。官民一体となって、開かれた原子力施策の推進を重ねていくことは勿論のこと、我が国の高い原子力技術を支えておられる原子力産業に従事されている皆様一人ひとりが、各々の職場、持ち場で業務にはげみ、誇りをもって使命・責任を全ういただくことを強く希望しています。

昨年の国内の原子力の状況を振り返りますと、四国電力伊方原子力発電所3号機と東京電力福島第一原子力発電所3号機にてMOX燃料による営業運転が開始されるなどプルサーマル計画の本格化、中間貯蔵施設やMOX燃料加工施設の着工開始など、着実な進捗が見られました。

一方で、六ヶ所再処理工場の竣工時期の延期、高レベル放射性廃棄物処分場の立地選定活動の停滞、もんじゅのトラブル等、解決すべき課題も残されましたが、皆様の弛み無い努力によって、これらの課題が克服されることを期待します。引き続き、皆様のご支援ご協力をいただきますようお願いします。

国外に目を転じますと、昨年10月末には、ベトナムのズン首相と菅総理との間で、我が国がベトナムの原子力発電所建設計画の協力パートナーとなることが確認されました。このことが、我が国原子力産業の国際展開のさらなる躍進に繋がるものと期待を抱いております。新興国などにおける原子力利用は緒についたところであり、その道のりにおいては、これまで国内で経験したことのない課題や困難なども起こり得るものと思います。そのようなとき、皆様が長年培ってきた原子力の技術力や経験を大いに発揮し、国際社会の発展に寄与されることを願っております。

原子力委員会では、このような原子力を取り巻く状況の変化等を踏まえ、昨年末には、新たな原子力政策大綱の策定に向けた検討を開始いたしました。原子力基本法にもあるように、原子力の研究、開発及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興を図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することが重要であり、その基本方針となる新たな大綱が充実したものとなるよう期待する次第です。

本年が、我が国、特に、原子力産業界にとって、大きな飛躍の年となることを祈念いたしまして、新年のご挨拶と致します。


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