スイスの電力グループ3社 共同で既存炉建替えへ

スイスで既存原子炉の建替えを計画している電力グループ3社(AXPO、BKW、ALPIQ)は12月23日に共同声明を発表し、今後は3社による「共同計画会社」を通じて2つの原子力発電所を新たに建設する方針であることを明らかにした。

地元州政府や内閣の審議に続いて、議会の承認、国民投票の実施など、原子力発電所建設に伴う政治的および公的手続きの迅速化を図るとともに、評価手続きにおける相乗効果やコスト軽減を狙ったもの。2012年半ばに、建替えサイトとして承認済みの3つの候補地の中から2サイトを決定し、建設計画の優先順位付けをするとしている。

スイスでは現在、5基の原子炉が稼働中だが、10年後にはこのうち4基が運開後、40〜50年に達するほか、仏国からの電力購入契約も18年以降、徐々に期限切れとなる。国の総電力需要の4割を支えるこれら約340万kWの設備容量を温存するため、2008年6月にATEL社はゲスゲン原子力発電所の隣接サイト(ニーダーアムト)での原子炉新設計画を政府に申請。同年12月にはAXPOグループとBKW FMBエネルギー社がベツナウおよびミューレベルク両原子力発電所の建替えとして両サイトに160万kW級原子炉各1基の建設を申請していた。

今回、AXPOとBKWの共同計画会社にALPIQ社(旧ATEL社)が加わり、3分の1ずつ出資。当面それぞれ3サイトでの建設計画を等価値で進めていく。連邦エネルギー庁は現在、これら3件に関する一般認可申請を審査中で、その結果が出る2012年半ばには、連邦参事会(内閣)が3申請それぞれの可否を判断。共同計画会社はそれに基づいて、優先して進める2サイトの計画を最終決定する予定だ。

ベツナウ、ミューレベルクおよびニーダーアムトの3サイトはすでに昨年11月、連邦原子力安全検査局(ENSI)が原子炉建替え用地として承認済みで、現在さらなるFSが行われている。

なお、原子炉が完成した後、共同計画会社はそのまま共同運転会社に移行する可能性があるが、発電電力の買い上げ率は暫定的に、AXPOグループが59%、ALPIQ社が25.5%、BKW社が15.5%となっている。


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