大綱策定会議 議論の進め方審議 長期、国際的視点も重要

原子力委員会は14日、第2回新大綱策定会議を東京・大手町で開催した。

前回欠席していた田中明彦・東京大学院情報学環・東洋文化研究所教授は、国力の観点から原子力を(1)エネルギー供給の基盤(2)技術の牽引役(3)核不拡散を通じての国際政治への関与――と捉えていきたいとした。

近藤議長が今後の同会議での議論の進め方について説明。前回の会議で各委員から挙げられた意見をもとに、(1)エネルギーと原子力発電(2)核燃料サイクル(軽水炉サイクル/高速増殖炉サイクル/放射性廃棄物の処理・処分)(3)放射線利用(4)原子力研究開発の推進(5)安全確保、平和利用、核セキュリティ(6)国際的取組の推進(7)原子力と国民・地域社会との共生(8)人材の育成・確保――の各項目について会議1回あたり2つ程度のテーマを議論し、最後に「議論のまとめ」を作成するとした。「国内だけの議論でなく、世界的な視野で議論すべき」「今後10年だけでなく、100年単位を見通した上で議論すべき」「議論の順番を変えるべき」などの意見が出たが、各回のテーマにとどまらない共通的事項も適宜議論していくと補足された。

今回の議題である「原子力エネルギー利用を巡る現状について」の資料を事務局が説明し、その後意見交換した。

「安全性の問題は事業者と国の責任。自治体間でズレのある『安全』の考え方・解釈を整理し、利用率向上を図る必要がある」(増田寛也・野村総研顧問)、「2030年以降も原子力発電比率が30〜40%程度以上としている現在の政策大綱と、30年までに50%以上としているエネルギー基本計画の整合性について検討が必要」(山地憲治・地球環境産業技術研究機構 理事・研究所長)などの意見が出された。また、複数の委員が資料のコスト試算のデータが古いことを指摘しており、近藤議長は経済産業省に新しい試算をするよう求めた。


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