マレーシアの原子力導入計画 開発担当会社を設立

マレーシアのナジブ・ラザク首相は11日、原子力発電開発利用計画など19件の投資プロジェクト(EPP)を公表し、2021年頃の運転開始を目指して同計画を担当する原子力会社の創設を明らかにした。

火力発電で電力の安定供給を図ってきた同国も、天然資源の枯渇問題が現実味を帯びてきたことなどから、周辺国に10年以上遅れてようやく原子力導入に本腰を入れる。100万kWの原子炉2基建設で2016年にも入札を実施するとの情報もあり、すでに韓国が建設技術協力を提案する一方、日本も片山善博総務相が13日にナジブ首相に原子炉建設を含めたインフラ整備協力を申し出るなど、受注に向けた働きかけを活発化している。

ナジブ首相が公表したEPPは、同国経済改革プログラム(EPT)における10の国家重要経済分野に含まれている。原子力導入に関してはまず、半島部のエネルギー供給構造を多様化するとともに将来の需要を賄い得るエネルギー源の開発可能性調査を実施中だと説明。同イニシアチブを牽引し、将来の原子力発電所の建設に向けた調査・計画を立案するため、マレーシア原子力会社を設立するとしている。プロジェクトの準備段階から運転開始まで、11〜12年間の開発計画をリードする同社の最高経営責任者(CEO)には、国有電力会社(TNB)のM.ザムザム原子力部長を任命した。

建設費の見積もりに関しては、昨年6月に政府のエネルギー・グリーン・テクノロジー・水省(KeTTHA)が、人材養成や規制基盤構築などのインフラ経費や研究開発費を除いて、100万kW級原子炉で25億〜40億ドルという試算結果を明らかにしている。

また、建設サイトの選定および原子炉の安全確保に関しては、国際原子力機関(IAEA)など国際的な基準を採用して行う旨、表明している。

マレーシアでは1972年に設立した原子力応用センターが複数回の改組・再編を経て、現在は科学技術革新省(MOSTI)の下に原子力庁(ANM)として存在。元々、石油と天然ガス資源に恵まれていたことから、原子力は最終的な選択肢との位置付けだった。

しかし、近い将来にこれら天然資源の枯渇が予想されるほか、温室効果ガス排出削減への配慮もあり、原子力導入への取り組みが本格化したもの。


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