ポーランドの閣僚会議 原子力法改正法案を承認

ポーランドの閣僚会議は1月25日、原子力損害賠償規定や原子力庁の設置など、同国初の原子力発電所建設に必要な法的枠組みとなる包括的原子力法改正法案を承認した。今後、議会での審議を経て6月末までの施行を目指す。同閣僚会議はまた、経済省が提出した2030年までの原子力開発利用計画(PPEJ)の現状報告を了承、6月末までに最終版を承認する段取りになっている。閣議後、D.トゥスク首相は、「当初計画どおりに2020年から原子力による発電が可能」と発言しているが、法整備問題のほかに資金調達や人材不足などの課題もあり、昨年9月に経済省が改訂計画を提出した際のように22年にずれ込む(昨年11月の最終案で20年に再修正)との見方も残っている。

この日、閣議決定した原子力法改正法案では、原子力事故時の事業者による賠償措置限度額を3億SDR(約500億円)に引き上げるとともに、原子力施設から出る放射性物質の輸送についても義務事項を導入。これらはウィーン条約およびその改訂議定書の規定に準じたと説明している。

また、国際原子力機関(IAEA)の勧告に従って、原子力庁の設置を規定。原子力に関する専門知識の基盤としてポーランドの原子力発電所開発や操業を管理することになる。一般国民の原子力発電に関する知識や教育のシステム創設についても明記しており、事業者は発電所の立地地域に情報センター設置の義務を負うことになる。

一方、経済省が作成したPPEJは原子力発電所の立地候補地やコスト、資金調達計画、放射性廃棄物の管理や国民への広報規則など、2030年までの実行タイム・テーブルを示したもの。

この間に実施する活動を5段階に分けており、まず(1)今年6月末までに同プログラムの最終版、および原子炉の開発と操業に不可欠な諸規則について閣議の承認を得る。(2)2013年の末までに、原子炉初号機の建設サイト選定と関連契約を済ませる。(3)これに続く2年間は、採用する技術設計の準備と法的に必要な調整を実施。(4)2016年に原子力規制当局から建設認可を取得。(5)20年に初号機を完成させる。

なお、2020年に必要となる経費を経済省は7億9000万ズロチ(約229億円)と試算。主な使途としては、原子力規制を担当する国家原子力庁の設置や低・中レベル放射性廃棄物の貯蔵施設建設や使用済み燃料の管理政策執行費、研究開発施設の開発、人材育成、原子力の広報・教育活動――を挙げている。


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