【原子力ワンポイント】広く利用されている放射線(8)放射線が衝突して起こる電離や励起

放射線がぶつかった電子が軌道外にはじき飛ばされて引き離されてしまう電離と、放射線がぶつかった電子が外側の軌道に移動させられる励起という2つの作用が、放射線にはあります。

(8) 衝突で生まれる放射線

ゆりちゃん 放射線にはどんな作用があるのですか?

タクさん アルファ線やベータ線のように電荷を持つ放射線は、原子にぶつかると、原子核のまわりを回っている電子を外へはじき飛ばします。

このように、放射線がぶつかることによって、電子が軌道外にはじき飛ばされて引き離されてしまうことを「電離(イオン化)」または「電離作用」といい、はじき飛ばされた電子は「電子線」と呼ばれます。さらに、電離した原子は「イオン」と呼ばれます。また、放射線がぶつかった電子が外側の軌道に移動させられることを「励起(れいき)」といいます。

ゆりちゃん 電荷を持たない電磁波のX線、ガンマ線などの放射線は、電離や励起を引き起こさないのですか?

タクさん X線やガンマ線も原子にぶつかると、アルファ線やベータ線と同様に電離、励起を引き起こします。また、中性子も電荷を持たないのですが、原子にぶつかると陽子をはじき出したり、別の放射線を発生させたりするので、結果的に電離、励起を起こします。

ゆりちゃん ぶつかる放射線の強さは、はじき飛ばされた電子の量を測れば、分かるのですか?

タクさん 理屈ではそのとおりですが、はじき飛ばされた電子の量を測ることは難しいので、発生したイオンの量を測ることによって放射線の強さを算出します。例えば、「電離箱」では、放射線によって生じた電流の大きさを測定することによって、その放射線の強度が分かります。

ゆりちゃん 放射線の電離という作用はどんなことに利用されますか?

タクさん 放射線利用としていろいろなことに利用されています。放射線の利用については、また別の機会に話したいと思います。(原産協会・政策推進部)


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