フランスが原子力産業を再編成 EDFとアレバが連携へ

仏国のN.サルコジ大統領は2月21日、自らが議長を務める国家原子力政策会議の会合後に決定事項を発表し、今年の夏前までにフランス電力(EDF)とアレバ社が戦略的なパートナーシップを構築することなど、一連の原子力産業部門強化策を同業界に指示した。昨年7月に、この目的のための将来戦略として発表した大統領決定に基づくもので、原子炉輸出に向けて事業者をリーダーにメーカーが連携する「チーム・フランス」を結成。仏国の原子力産業が世界の原子力市場におけるニーズに対応可能となるよう、効率的な体制に再編成を図る考えだ。

EDFとアレバ社両社のパートナーシップ構築では、具体的に以下の項目に関する技術的および商業的な協定を結ぶことになる。すなわち、@オルキルオト3号機、フラマンビル3号機および台山1、2号機の建設での経験をフィードバックし、欧州加圧水型炉(EPR)設計の最適化を継続A既存の原子炉の運転性能向上および40年以降の運転期間延長に備え、保守点検と操業を改善B放射性廃棄物貯蔵における産業界の協力強化と新たな燃料製品開発のための燃料サイクル管理――などだ。

ウラン資源開発に関しては、同政策会議はアレバ社保有のウラン採掘権を子会社に譲渡するよう同社に要請した。これは同事業の将来的な発展を保証するための、戦略的および財政的なシナリオを検討し実施する前提条件となる。同社に対してはまた、EDFと長期的なウラン供給協定を締結するよう要請している。

仏国の対外的な原子炉提供能力を強化する方策としては、基本設計であるEPRに加えて、アレバ社と三菱重工業が開発した中型原子炉であるATMEA1の最適化と型式認証促進のための協力強化をEDFとアレバ社、GDFスエズ社、およびその他の関係機関に要請。同設計の仏国内における初号機建設について計画検討を開始するとしている。

拡大著しい中国市場への参画に関しては、安全性など民生用原子力分野全体に関する包括的なパートナーシップ締結のための交渉を進めるよう、同会議は仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)長官に指示。ここでは、既存炉と計画中の原子炉および新たなEPR建設に関する製品とサービスの提供に加えて、中仏両国産業界の成功経験に基づいた第3世代の100万kW級原子炉の共同開発が含まれる。

同政策会議はさらに、エネルギー大臣がCEA、その他の関係省庁の支援を得て、10万〜30万kWの低出力原子炉プロジェクトの技術的、法的および経済的な面の調査に関する作業部会を指揮することになったと明言。同大臣に対してはこのほか、エンジニアリング会社やサービス企業、機器メーカー、燃料サイクル企業、契約請負業者、下請け企業、労働組合など、原子力産業界に属する全構成員から成る「原子力戦略委員会」の設置を要請したとしている。

同委員会では、委員長を務めるエネルギー大臣の下、EDF会長が副委員長として議事を進行。原子力産業界内の異なる機関同士の連携強化という役割を担う予定で、公的資金など政府による産業界への支援手段が動員されることになる。

輸出に向けて仏国提案の調整を確実に行う方法としては、関係閣僚らも含めた原子力産業界の全構成員間の連絡調整をエネルギー大臣に要請。仏国が施工責任者を務めるよう求められた場合は、EDFが原子力産業界のリーダーとしてその任に当たるとしている。


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