WH社 AP1000の販路拡大見込み スペイン社に情報提供

ウェスチングハウス(WH)社は8日、スペイン最大の電力会社であるENDESA社にAP1000の技術情報を提供することで合意文書に調印したと発表した。ENDESA社が南米最大の民間公益電気事業を所有していることや、スペインでも脱原子力政策が緩和されつつあることなどから、今後これらの国々の原子炉建設プロジェクトでAP1000が採用される可能性を見越した上での取り組みとなる。

ENDESA社に移転されるWH社の独占所有権付き情報はAP1000の設計とその性能、製造、および建設に関するものなど。このほかENDESA社のスタッフは、原子炉のエンジニアリングや許認可、建設支援やシミュレーターによる人材訓練などの分野でも、WH社と共同で作業にあたることになる。

調印に際してWH社は、「ENDESA社のAP1000技術に対する関心は、欧州全域の潜在的な顧客達からも同様の関心がかつてないほど高まっていることの表れだ」として歓迎。ENDESA社を重要かつ長期的な顧客と位置付けるとともに、スペインや南米で将来的に浮上する原子炉建設プロジェクトにおいて優れたパートナーになるだろうと強調した。

1944年にスペイン国営企業として設立されたENEDSA社は98年に民営化。2007年にイタリア電力公社(ENEL)に買収されている。スペイン国内ではアスコ原子力発電所(=写真)やバンデリョス原子力発電所などWH社製原子炉を所有している。

ENDESA社、原子力人材育成に乗り出す

なお、ENDESA社は7日、スペイン初の原子力工学修士課程をバルセロナ工科大学と共同で設置することを決めた。

6か月間のインターン制度を含む1年間の修士コースを国内外の学生に提供するもので、理科系の学士、エンジニア資格を有する学生を対象に英語で授業を実施。同コースでの講義600時間は、EU諸国の大学共通単位制度でも評価される。

また、学生達にはENDESA社所有の原子力発電所、および欧州のその他の原子力関連施設を訪問する機会が与えられるほか、将来的には、原子力工学コースを有する欧州のその他の大学と学生交換プログラムが利用可能になるとしている。


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