【原子力ワンポイント】広く利用されている放射線(11) 人類は自然放射線と共存して生きてきた

私たちは、呼吸や食事などの日常生活を通じて、年間約2.4ミリシーベルト(mSv)の自然放射線を受けているのです。また、食べ物によりカリウム40という自然放射性物質が体の中にたまっており、ここからも放射線が出ています。

(11) 自然の中にある放射線

ゆりちゃん 自然界にある放射線(自然放射線)とはどのようなものですか?

タクさん 自然放射線とは、私たちの身の回り、地球ができたときから自然界にもともと存在しています。私たちは、呼吸や食事などの日常生活を通じて、年間約2.4mSv(世界平均)の自然放射線を受けているのです。

自然放射線のうちわけは、太陽も含めて宇宙から0.39mSv、大地から0.48mSv、食物から0.29mSv、大気中にあるラドンなどで1.26mSvです。

ゆりちゃん 大地から受ける放射線はどこでも同じですか?

タクさん 大地から受ける放射線は地域によって異なります。日本国内では、花崗岩の多い関西地方が高く、関東地方は低い傾向にあります。大阪では年間平均0.46mSvに対して、東京では年間平均0.32mSvと少なくなっています。

海外をみると、インドのケララでは、大地から受ける放射線は年間平均3.8mSvです。これは土壌中のモナザイトという鉱物がトリウムという放射性物質を多く含んでいるためといわれています。

ゆりちゃん 高くなると放射線はどうなりますか?

タクさん 高いところにいくと宇宙からくる放射線(宇宙線)をさえぎる大気の層が薄くなるので、富士山頂では平地の5倍の宇宙線を受けます。また、航空機で東京とニューヨークを往復すると、0.2mSvの宇宙線を受けることになります。

ゆりちゃん 食事から自然放射線を受けているのはどうしてですか?

タクさん 日常食べている食品にも放射性物質が含まれています。カリウムは自然界に存在するミネラルの一種で、人間の体内で塩分を低下させ血圧の上昇を抑えるなど、健康を保つために必要不可欠な成分です。このカリウムにはカリウム40という放射性物質がごくわずか(0.01%程度)ですが存在していて、いろいろな食品に含まれています。そして、私たちの体内に入ると一部は排泄されますが、一部は体内に残ります。こうして、人の体の中にも、いつもほぼ一定のカリウム40という自然放射性物質がたまっていることになります。(原産協会・政策推進部


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