オバマ大統領が将来のエネ政策公表 「原子力、今後も推進」

米国のB.オバマ大統領は3月30日、米国の将来のエネルギー供給保証政策に関する包括的な計画(ブループリント)を公表した。ニクソン政権以降、歴代大統領が取り組んできた輸入石油への依存脱却に主眼を置いたもので、今後十数年の間に国内での石油増産やクリーン・エネルギーの活用により、1日に1100万バレルという石油輸入量の3分の1削減を目指す。原子力はこれまで通り、石油を代替するクリーン・エネルギーの1つと位置付けられており、福島事故後も変わらず原子炉の新設を進めていく方針が示された。

ブループリントの狙いとして提示されたのは次の3点。すなわち、(1)米国が世界のエネルギー経済をリードするため、国内で一層安全かつ信頼性の高いエネルギー供給技術を開発(2)燃料効率の高い車や耐候性のある家屋の導入等を通じて、消費者に省エネとエネルギー経費削減の機会を提供(3)最先端の次世代技術研究に予算を付けるなど、クリーン・エネルギー開発を通じて米国経済を強化し、未来を勝ち取る――である。

これらの中で原子力は、オバマ大統領が1月の一般教書演説でも述べたように、「2035年までに電力需要の8割を担うクリーンエネルギー」の1つとして、再生可能エネルギーや天然ガスなどとともに同等の扱い。(1)を実現する具体策として、「各国が適切なインフラや安全性、セキュリティを備えた意欲的な原子力利用が可能となるよう、国際的な枠組みを新たに構築する」と提唱。ここでは特に、機微な技術と物質の拡散なしに原子力発電を行えるよう、原子燃料のリースに商業的概念を盛り込めるよう努力する旨を明記している。

また、(3)の進展状況説明として、政府の融資保証を通じて慎重に原子力発電開発を支援中だと強調。具体化方策の中では、会計2012年度予算要求に2種類の小型モジュール型炉設計も含めて先進的な原子力技術開発に予算を計上していると説明した。

さらに、原子力発電所の安全性を保障するため、福島事故の教訓を学んで国内炉の安全確保に適用しなければならないと指摘。米原子力規制委員会に命じた国内炉の安全審査はその一環であることを強調している。


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