福島第一事故「レベル7」 国際尺度「レベル5」から変更 安全・保安院 放射能放出量など再評価

原子力安全・保安院は12日、今般の福島第一原子力発電所で発生した事故に対するINES(国際原子力・放射線事象評価尺度)を、レベル7(深刻な事故)とする暫定評価を発表した(=写真=原子力安全委員会との合同記者会見)。1986年に発生した旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ発電所事故に相当する世界でも最も重篤なレベル。

同院では3月18日、事故に対する暫定評価を、79年の米スリーマイルアイランド発電所事故に相当するレベル5と発表したが、その後の原子力安全基盤機構による原子炉の状態等の解析結果から試算し、大気中への放射性物質の総放出量をまとめたところ、ヨウ素131とセシウム137を合計した想定放出量が、ヨウ素換算37万テラ(10の12乗)ベクレルで、レベル7に相当する同数万テラベクレルを超える値となったことから、適用となった。

また、原子力安全委員会でも、日本原子力研究開発機構の支援により、事故発生の3月11日から4月5日までの発電所から大気中への放出総量を推定しており、ヨウ素131とセシウム137の合計想定放出量同63万テラ(10の12乗)ベクレルと試算している。現段階で、事故により放出された放射性物質の量を正確に推定することは困難としているが、同委が公表したデータによると、3月15日に放出積算量が急増していることから、2号機原子炉の圧力抑制室損傷によるものとみられる。

これら放出量について、保安院では、同院、安全委員会いずれの試算とも、チェルノブイリ事故でのヨウ素131とセシウム137の合計放出量520万テラベクレルの約1割程度と見込まれるとしている。

なお、国内におけるINES評価はこれまで、レベル4となった99年のJCO臨界事故が最も重く、今回の福島第一原子力発電所の事故は、すでに国内原子力史上最悪の事故となったが、放射性物質の環境への放出は未だに継続しているため、最終的な評価は、事態が収束し、原因究明が完了した後、専門家会合による検討を経て、決定される。


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