福島 地元首長らが首相に要請 超法規的対応求める

福島県の原子力発電所立地・周辺の自治体で構成する双葉地方町村会(会長=遠藤雄幸・川内村長)が5日、菅直人首相に緊急要望書を提出した後、東京で記者会見した。増子輝彦・参議院議員(民主党、福島選挙区)が同席した。

遠藤会長は冒頭、要望内容について説明し、(1)補償問題への超法規的対応(2)住宅(3)雇用の創出(4)就学(5)防犯対策(6)行方不明者の捜索促進(7)一時帰宅(8)ライフラインの復活――などを求めた。同会長は、菅首相は福島原子力発電所を安定な状況にするため全力を尽くすと言い、東京電力ができない補償は国が最後までしっかりと支えると表明され、大変勇気づけられた、と述べた。

また遠藤会長は、今回の事故について、「一言で言えば『悔しい』だ。一瞬の震災で人や街が変わってしまった」と語る一方、「本日、8町村が集まり、互いに協力しつつ新たな一歩を踏み出すことを確認した」と述べた。

遠藤勝也・富岡町長は「これまで東電と信頼を構築し、共存共栄を図ろうとしてきた。地震・津波のあとはすぐにでも復興にとりかかるつもりであったが、原発事故による避難勧告を受け、いまだに実行に移せない。住民は1日も早い帰宅を切望している」と語った。

質疑の中で、福島原子力発電所の今後についてどう考えているかについて問われた遠藤会長は、「福島第一の1号から4号機の廃炉は当然。5、6号機は住民や国民の意見によるが、このままの状況での運転再開は厳しい」と述べた。一方で同会長は、「原発就労者は双葉地区で1万人もいるのも現実。中期的な考えで議論を重ねていくが、いまはそれ以上のコメントはできない」と語った。

立地町村はかつて原発誘致の決議をしたが、そのことをどう思っているかと問われ、井戸川克隆副会長は、「いまこの部屋で電気が光っているが、この安定供給を図るとの国策に協力するという自負のもとに進めてきた。答えには苦慮するが、東京も大停電があるかもしれないという中で、ユーザー全体で原子力発電を考えるべきだ」と答えた。

増子参院議員は、「前経産副大臣として、安全・安心を大前提としてきたが、想定外を想定できなかったことは申し訳なく思っている。国民の生活・エネルギー政策をどう変えていくのか。新聞社の世論調査で、原子力発電所そのものは容認する意見が多かったものもあるが、これをどう考えるか、立ち止まって考えてみたい」と発言した。

井戸川副会長は、「電力の30%をまかなってきたという自負があるが、国民はそれをどう受け止めてきたのか。国防に匹敵するような重大な問題だ。一地域で決める問題ではない」と答えた。


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