【原子力ワンポイント】日本の放射線・放射能基準−−福島第一原発事故〈番外編(3)〉 事故後の放射性物質量徐々に減少中

福島第一原子力発電所の事故では、周辺地域の大気や水から放射性物質が検出されました。少し不安になってしまったゲンくんに、ものしり博士のカワさんが具体的なデータを示しながら説明します。

ゲンくん 放射線が空気中にも放出されたけど大丈夫かな。

カワさん 空間の単位時間当たりの放射線量を空間線量率と言います。福島県の空間線量率を見てみると、事故後には高い数値を示したものの、4月にはぐっと下がりほぼ横ばいになりました。これは、まず原子力発電所からは放射性物質がもう大量には放出されておらず、すでに放出された放射性物質は徐々に薄まっていたり、減衰しているからです。

ゲンくん ヨウ素剤が配布された地域もあるみたいだね。

カワさん 原子力災害対策現地本部は3月16日より「避難区域(半径20km)からの避難時における安定ヨウ素剤投与の指示」を県知事および12市町村宛に発出しました。一部の町ではすぐ服用してしまうなど混乱もあったようですが、ヨウ素剤の効果持続時間は24時間なので正しいタイミングで服用することが重要です。また40歳以上は被ばくしても甲状腺がんの発症率は高くならないため、40歳未満が対象です。同本部は21日、服用は本部の指示を受けてから医療関係者の立ち会いのもとで服用するものであり、個人の判断で服用しないよう指示しました。その後も、服用が指示される事態は起こっていません。

ゲンくん 漁業を営む人たちや近隣諸国は海水中の放射性物質に懸念を示していたね。

カワさん 東京電力はより高い濃度の汚染水が海水に流出するのを防ぐため、やむなく4日から14日の10日間、比較的低濃度の水約1万トンを海に放出しました。その後、海水モニタリングの調査地点を新たに6か所増やして調査を強化しています。

東京電力福島第一原子力発電所の周辺の海水から検出される放射性物質の濃度は、高濃度の放射能汚染水の流出を止めてからは下がる傾向にありますが、2号機の取水口付近では17日、放射性ヨウ素1cc当たり210ベクレル(国の基準の5300倍)が検出されました。引き続き注意深く監視していくとしています。

ゲンくん 今回の事故で水道水も汚染されたね。

カワさん 各地の水道水中に通常の値を超える量の放射性ヨウ素131が検出され、東京都でも3月22日、金町浄水場で採取された水道水から1kgあたり210ベクレルが検出されました。グラフは福島県の飯舘村の検出結果ですが、3月末より急激に下がってきているのがわかります。4月19日現在、水道水の摂取制限の出されている地域は福島県内を含めてありません。

ゲンくん 今、少しずつ通常の状態に戻りつつあるところだとわかってきたよ。(原産協会・情報・コミュニケーション部)


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