原子力損害賠償の支援枠組決定 事故に備え、「機構」設立

政府・原子力発電所事故経済被害対応チームは13日の関係閣僚会合で、福島原子力発電所事故の損害賠償に関する政府支援の枠組みを決定した。原子力損害賠償の支払いに対応する機構を新設し、必要な資金を融通させ、被害者からの相談に当たるほか、将来の原子力災害に備え、東京電力以外の原子力事業者も参加させる。

これに先立ち、海江田万里経済産業相(原子力経済被害担当)は10日、東京電力からの国に対する原子力損害賠償に係わる支援要請を受け、(1)賠償総額に事前の上限を設けることなく迅速かつ適切な賠償を確実に実施(2)原子力発電所の状態の安定化に全力を尽くすとともに従事者の安全・生活環境・経済面にも配慮(3)電力の安定供給と設備の安全性を確保するために必要な経費を確保(4)最大限の経営合理化と経費削減(5)政府が設ける第三者委員会の経営財務の実態調査に応じる(6)金融機関から得られる協力の状況について報告――について同社より確認した。

その上で、政府として、法令の枠組みのもと、国民負担の極小化を図ることを基本に、東京電力に対する支援を決めた。

具体的な枠組みとしては、所要の法整備が必要となるが、まず、原子力損害が発生した場合の賠償支払いに対応する機構を設け、原子力事業者である電力会社を基本に参加を義務付け、十分な資金を確保し、機構は、賠償のために資金が必要な事業者に対し、援助を行う。政府は、機構に対し、交付国債の交付、政府保証の付与等、必要な援助を行うが、援助する事業者に対して、一定期間、経営合理化等について監督する。援助を受けた事業者は、毎年の事業収益等を踏まえて設定される特別な負担金を支払う。

今回の枠組み決定に伴い、電力事業形態のあり方を含め、エネルギー政策の見直しを検討し、所要の改革を進めるとともに、一定期間後に、被害者救済、電力の安定供給、金融市場の状況など、必要に応じ、追加的措置を講ずることとしている。


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