ポーランド議会、原子力法修正案を可決 安全優先で原子力導入

ポーランド議会下院は13日、経済省と国家原子力庁が提出していた原子力法修正案を407対1(棄権2)の圧倒的多数で可決した。同国初の原子力発電所の設計技術選定や手続きなど、原子力関係活動の様々な側面の中で安全性を絶対的な優先事項とする条項を盛り込んだもの。福島事故の教訓を踏まえた上で、何としても2020年末までに初号機の完成を果たす考えだ。議会は同時に原子力発電施設への投資準備と実施に関する法案についても可決しており、上院での審議の後、大統領が署名すれば、7月1日にも発効の運びとなる。

これらの一括法案では原子力施設における安全要求項目や核物質と使用済み燃料の取り扱いに関する基準、放射線防護と原子力損害への賠償責任に関する要求事項などを規定。原子力発電所建設のための法的基盤となるもので、原子力開発を担当するH.トロヤノフスカ経済省次官によると、国際的な勧告や規制に準じた最高レベルの安全要求項目を設定した近代的な法案となっている。

現在の開発スケジュールでは、法案が7月1日付けで発効することにより、実施主体であるポーランド・エネルギー・グループ(PEG)は2013年末までに採用原子炉メーカーを選定するための入札告知が可能となる。その後、2016年に初号機着工、2020年末までの完成という段取りだ。

今年4月、「将来の原子力発電のための化学」と題する会議に出席したトロヤノフスカ次官は、同国出身の物理・化学者M.キュリー夫人が100年前にポロニウムとラジウムの発見でノーベル賞を受賞した事実に触れ、「原子力は現代化学者に特定の挑戦なのだ」と言明。「福島での災害は痛ましい結果となったが、その不安と恐怖も原子力発電開発を停滞させることはできない」と述べて、同国が原子力導入政策を貫く考えであることを強調した。


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