パキスタン チャシュマ2が運開 首相、原子力開発堅持を明言

パキスタンで3基目の原子炉となるチャシュマ原子力発電所2号機(C―2)(PWR、32.5万kW)が12日に営業運転を開始した。

同1号機と同様、中国核工業集団公司(CNNC)の全面的な協力により建設されたもので、秦山T原子力発電所の設計をベースに開発されたCP300設計。今年2月22日の初臨界達成後、出力を徐々に上げ、3月14日に送電網に接続されていたもの。これにより同国の原子力発電設備は78.7万kWとなったが、チャシュマ発電所では3月5日から、CNNC傘下の上海核工程研究設計院(SNERDI)が設計した3号機のコンクリート打設が開始された。

〈首相、原子力堅持を明言〉

C―2の営業運転祈念式典に出席したパキスタンのY.ギラニ首相(=写真)は、同炉が3か月前倒しで運開にこぎ着けたことを含め中国チームの協力に感謝するとともに、同発電所の運転管理にあたっているパキスタン原子力委員会(PAEC)の労をねぎらった。

首相はパキスタン全土で実施を余儀なくされている長時間の電力平均分配に言及し、電力不足が産業生産活動や経済成長に悪影響を及ぼしていると強調。こうした危機に打ち勝つため、同国政府は石炭火力、水力、再生可能エネルギー、原子力など、利用できるすべての電源を可能な限り短期間で開発する義務があると説明した。

首相はまた、同国政府が2030年までに880万kWの原子力発電設備開発を目標としている点について、チャシュマ3、4号機の建設工事に政府として全面的な支援を約束した。ただし、福島第一原発事故の発生に鑑み、今後の開発計画には安全確保に最大限の注意を払うと明言。現在、国内の既存原子炉で安全性と緊急時体制の評価作業が実施中であることを賞賛するとともに、独立の規制当局(PARA)とPAECは、その役割を断固たる姿勢で果たさねばならないと言明した。

首相はこのほか、日本の事故により、世界の原子力発電開発やルネッサンスは短期的に影響を受けることになるとした上で、「それでも原子力には利用を拡大するに足る確固たる理由があり、世界中でエネルギー需要を満たしていくだろう」と断言。同国が今後も国際原子力機関(IAEA)の保障措置に従いつつ原子力民生利用を継続していく決意を明らかにした。


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