【原子力ワンポイント】 日本の放射線・放射能基準−−福島第一原発事故〈番外編(7)〉 セシウムの蓄積を防ぐとされるカリウム

カリウムや牛乳や乳製品、あるいは卵、肉、魚に含まれる必須アミノ酸は、放射性セシウムの蓄積を防ぎます。ビタミンやセレンは放射線に対する抵抗力を高めます。

ゲンくん 生葉で放射性セシウムの暫定規制値(1kg当たり500ベクレル)を超えたので、どの段階で検査して規制すべきか、国で検討しているようだけど、誤って体の中に入ったセシウムを出すことはできないの。

カワさん 旧ソ連のチェルノブイリ汚染地域の住民を対象にした『チェルノブイリ―放射能と栄養』がウクライナ医科学アカデミーの専門家から出版されていて、セシウムへの対応が書かれているので紹介します。大人の1日摂取量は2.5〜5.0グラムですが、カリウムが不足するとカリウムに似たものとしてセシウムを蓄積するので、セシウムを溜めないようにカリウムをたくさん取ることを薦めています。非常に微量だけど、セシウムを除去することもわかっています。

ゲンくん お茶の木もカリウムの代わりとしてセシウムを溜めたんだね。ところで、カリウムを含む食べ物って何があるの。

カワさん カリウムを含む食品を表にして示します。

ゲンくん カリウムをたくさん取る以外には対策はないの。

カワさん リジン、トリプトファン、メチオニン、バリンの必須アミノ酸類は放射性セシウム・ストロンチウムの体内蓄積を減少させたり、放射線に対する抵抗力をもたらしたりします。リジンはチーズ、魚、肉、豆に多く含まれます。トリプトファンはチーズ、卵、肉、魚などに含まれます。メチオニンは硬質チーズ、乳酸製品、鶏卵、肉、豆等に含まれます。著者たちの動物実験では、メチオニンを十分含む食事の方が体内に入ったセシウム137、ストロンチウム90の排泄を早めたり、照射された動物の寿命が長くなったりした結果が出たそうです。

ゲンくん 牛乳や乳製品、卵、肉、魚を好き嫌いなく食べなければいけないんだね。

カワさん たんぱく質だけでなくビタミンも必要で、放射能汚染の環境でビタミンが不足すると放射線に対する抵抗力が低下するそうです。また、少量のセレンは免疫活性を再生させたり、放射線に対する抵抗力を高めたりします。セレンは豆、肉製品、チーズに含まれていて、1日の所要量は0.5mgだそうです。なお前回と今回、内容の一部を紹介した『チェルノブイリ―放射能と栄養』の邦訳版を入手したい方は、メールにてrose0878orchid@yahoo.co.jp へ連絡してください。 (原産協会・政策推進部


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