英規制当局 福島影響評価で中間報告 既存炉の安全性を確認

英国では18日、保健安全執行部(HSE)のM.ウェイトマン原子力規制機関長(=写真)が福島事故における想定外事象の影響と英国の原子力発電部門が安全強化上学ぶべき教訓について、「国内の既存炉や新設計画に影響なし」と結論づける中間報告書をとりまとめた。 この評価は福島事故直後の3月14日にエネルギー気候変動省(DECC)のC.ヒューン大臣が要請していたもので、すべての原子力施設をカバーした包括的な最終報告書は9月に提出することになっている。

ウェイトマン長官は4月1日付けでHSEに新たに設置された原子力規制機関(ONR)のトップであり、原子力施設のサイト許可に関わる安全管理や放射性廃棄物輸送などの規制を担当。国際原子力機関(IAEA)が24日から6月1日までの日程で福島原発に派遣した事故調査専門家チームの団長でもある。

中間報告段階における結論として同長官はまず、「福島事故から学ぶべき教訓はあるが、国内原子力発電所の運転を縮小する必要はない」と断言。合理的で適切な対策により、原子力の安全性をさらに高めることが可能かを判断するため、産業界や政府、規制当局がレビューすべき25の勧告分野を特定した。

具体的には国内原発のレイアウトや緊急時対応の体制、電源喪失が長時間にわたった場合や洪水にともなうリスクへの対応を挙げている。そして、これらにどのように取り組むかの計画案を6月半ばまでに策定せよ、というのが26番目の勧告になるとしている。

同長官はまた、福島では想定外の規模の自然災害が事故の直接原因となったのに対し、英国内には既存炉および計画中の炉の中にもBWRが存在しないこと、過去の災害記録から推定した天災対策の実証を設計者や事業者に求めるアプローチを取っているなどの点から、以下を含めて合計11の結論を導き出した。

@英国内の原子炉および原子力施設の運転を縮小する理由はない。

A福島事故とその潜在的な教訓を考察したところ、英国の原子力許認可体制に特段深刻な弱点は見受けられなかった。

B英国の新設候補サイトでは建設の妨げとなるような洪水リスクは考えにくいが、リスクのあるサイトについては発電所レイアウト変更や特別な防護措置などの配慮が必要かもしれない。

C英国の新設計画で現在の立地戦略を変更する必要はない。

D福島第一3号機のMOX燃料が近隣住民の健康に深刻な影響を及ぼしていると示唆する証拠はない――など。


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