三菱重工の米国法人 米にエンジニアリング拠点 US−APWR用の機器供給

三菱重工業(MHI)100%出資の米国現地法人である三菱ニュークリア・エナジー・システムズ(MNES)社は5月31日、原子炉の新設と既存原発の取替用大型機器供給で米国市場での事業を拡大するため、ノースカロライナ州シャーロットに新たなエンジニアリング・センターを設立すると発表した。

同社が米国市場向けに開発したUS‐APWR設計(第3世代+の改良型PWR)は、ルミナント社のコマンチェピーク3、4号機建設計画とドミニオン社のノースアナ3号機計画に採用が決定済み。米原子力規制委員会による設計認証も2013年に発給が見込まれることから、US‐APWR用機器を現地で調整・供給できる体制を万全に整える考えだ。

同センターは米国におけるMNES社の新プロジェクトの核という位置付けで、設立にあたっては410万ドルの現地投資を予定。雇用も今後5年間に技術者を含めて135人分が創出される見込みで、ノースカロライナ州政府はこの計画に対し、雇用開発助成金として最大280万ドルの提供を決定した。

MNES社の山内澄社長は、同センターの設立により安全で効率的な原子力発電技術を求める米国の顧客――電気事業者の増大するニーズを満たすとともに、US‐APWRによって世界のエネルギー供給に寄与したいとしている。

三菱重工は2006年7月、米国原子力市場でのUS‐APWR販路拡大を目指してMNES社を設立。原子炉容器上蓋や蒸気発生器、制御棒駆動機構、加圧器など、既存PWR用大型機器の供給・取替のほかに、保守サービス等のサポートも提供。福島事故後、世界中で原子力産業界への影響が懸念されるなか、三菱重工は2014年度に6000億円の原子力受注を目指すとの中期事業計画を堅持。今後数年間で火力を含む原動機事業の受注倍増という目標を達成すると予想されている。


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