イタリア最高裁、原子力の是非で 国民投票実施を裁定

イタリアの最高裁判所は1日、同国における原子力発電復活の是非を問う国民投票を今月12日と13日に実施するとの裁定を下した。

イタリアではベルルスコーニ政権が原子力発電を復活させるためのサイト選定など建設に関する手続きや規定を定めた復活法を2009年に制定。野党がこれを国民投票にかけるべく署名集め等の手続きを展開し、4月から6月までの間に実施することが今年1月に決定していた。

しかし、3月の福島事故により国内の反原子力運動が高まったことから、同政権は原子炉建設に必要な条項を無効とする一括法案を4月に議会に提出。原子力反対派からは「敗北する公算の高い国民投票の実施を避けるための企みだ」との批判を受けていた。

今回の最高裁判決では、国民投票の論点を原子力復活法の撤回ではなく、イタリア国内での原子力発電所建設そのものに変更すると伝えられている。有権者の50%以上が投票に参加し、復活反対の意見が有効投票数の過半数に達すれば、原子力の建設は絶望的になると見られている。

政府が4月に議会に提出した一括法案は、5月末にG.ナポリターノ大統領の署名をもって成立。経済省のP.ロマーニ大臣は、「原発建設につながるすべての規則はすでに無効となった。その中での国民投票実施は有権者を混乱させるだけだ」と反発している。


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