「原子力の代替は困難」 原子力委ヒア 山地氏が発表

原子力委員会が現在行っている一連の有識者ヒアリングで、9日、山地憲治・地球環境産業技術研究機構研究所長が意見を述べた。

山地氏は、この問題は重要な問題であることは間違いないと述べる一方、(1)放出された放射性物質による被曝線量とその影響の客観的評価(2)原子炉の過酷事故に対する防災計画とアクシデント・マネジメントの見通しがたたないと、「どう考えていいか分からない」と指摘した。

エネルギー・環境政策の再構築として同氏は、(1)エネルギーと地球温暖化対策を一体とした政策構築=脱原子力ケースを含めた複数のシナリオの評価→エネルギー基本計画の見直し=新エネ・化石燃料の効率的利用技術の最大動員(2)エネルギー・システムの強靱性増強=全国連携による電力・エネルギー・システム強化など(3)節電など活動量の調整を含めた省エネの徹底追求(4)当面の電力供給不足への対応提案=エネルギー業界の壁を越えた国民運動としてピーク需要(kW)を抑制――することを主張した。

特に山地氏は、現行のエネルギー基本計画について、2030年度の電源目標として、原子力の設備容量シェアが約2割となっているにもかかわらず、発電電力量では約5割となっている点を指摘し、発電稼働効率をも考慮した場合、原子力(85%)を太陽光(同12%)で置き換えようとすると、さらに7倍の設備が必要になることを忘れてはならないと、警告した。

その上で、福島第一原子力発電所の1号〜4号機の計281万kW(設備利用率85%として210億kWh)を、太陽電池(同12%)で代替しようとすると、計画よりさらに1993万kW、風力発電(同20%)で代替すると同1196万kWを必要とすることになり、「これは極めて困難だ」と述べた。

さらに建設準備中の12基1655万kWを代替しようとすると、太陽電池で1億1724万kW、風力発電で7035万kWをさらに追加しなければならない、と指摘し、実現可能性を疑問視した。


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